プロが教える服の毛羽立ちの原因と直し方や抑える方法
日常的な洗濯や着用により、時折衣類が毛羽立ってしまうことがあります。
ですが、この毛羽立ちは適切な知識とケアで抑えることが可能です。
そこで、服の毛羽立ちがどのようにして発生するのか、そしてその原因に基づいた効果的な直し方や抑える方法をご紹介。
これを読めば、あなたの服は常にベストコンディションを保てるようになるので、ぜひ参考にしてみてください。
毛羽立ちとはどういう状態?毛玉との違い
毛羽立ちとは?
毛羽立ちとは、衣類の繊維が摩擦や経年劣化により表面から細かく突出し、表面の繊維がぼさぼさになってしまうことです。
この現象は特に繊維が長い素材や、繊維が弱い素材でよく見られます。
毛羽立ちがひどくなると、服が古く見えたり、暗めの色の服が白っぽく見えたりすることもあります。
この白っぽさは、細かい繊維が光を乱反射するために発生します。
毛羽立ちと毛玉の違い
毛羽立ちと毛玉は似ているようで異なる現象です。
■毛羽立ち
- 繊維が表面から細かく突出する現象。
- 衣類の表面が全体的に荒れて見える。
- 摩擦や洗濯により発生しやすい。
■毛玉
- 摩擦によって繊維が絡み合い、小さな球状の塊を形成する現象。
- 主に袖口や脇下などの摩擦が多い部分に発生する。
- 繊維の長さが長い素材でよく見られる。
簡単に言うと、毛羽立ちは衣類の表面が細かく「ぼさぼさ」になることであり、毛羽立ちを放置すると、この状態が進行すると毛が絡み合い、「毛玉」という小さな球状の塊ができます。
どちらも衣類の見た目と質感に影響を与え、適切なケアが必要です。
毛羽立ちの原因
毛羽立ちの原因は多岐にわたりますが、主要なものを以下にまとめました。
摩擦
- 衣類の着用中の摩擦: 特に脇下や袖口など、体との接触が多い部分で摩擦が起こりやすく、その結果として繊維が突出し始めます。
- 洗濯中の摩擦: 洗濯機内での衣類同士の摩擦や洗濯機の回転による摩擦が繊維を傷め、毛羽立ちの原因となります。
質の悪い繊維や素材
- 低品質の繊維: 安価で質の低い繊維や繊維が細い素材は、摩擦や洗濯によって簡単に毛羽立ちます。
- 繊維の特性: 一部の素材、特にウールやコットンなどの天然繊維は、その性質上毛羽立ちやすい傾向があります。
洗濯方法の不適切さ
- 過度の洗濯: 頻繁に洗濯することで繊維が摩耗し、毛羽立ちが起こりやすくなります。
- 洗濯機の設定: 強い洗濯サイクルや高温での洗濯は、衣類の繊維を損傷させる可能性があります。
乾燥方法
- 乾燥機の使用: 乾燥機での高温乾燥は繊維を傷めることがあり、毛羽立ちを引き起こすことがあります。
経年劣化
- 経年劣化: どんなに品質の良い衣類も、長期間の使用と洗濯によって徐々に繊維が劣化し、毛羽立ちが発生することがあります。
これらの原因を理解し、適切な衣類の選択とケアを心がけることで、毛羽立ちの発生を最小限に抑えることができます。
毛羽立ちが起きやすい部分
毛羽立ちが特に起きやすい部分は、衣類が身体や他の物と頻繁に摩擦する箇所です。
これらの部位は摩擦による繊維の損耗が大きいため、毛羽立ちが生じやすくなります。
主な箇所は以下の通りです。
袖口や裾、袖の端
袖口と襟元は身体の動きによって常に摩擦が発生しやすい部分です。
裾や袖の端も、他の物との接触が多いため、毛羽立ちや摩耗が生じやすい部分です。
脇下
腕の動きにより脇下部分が頻繁に摩擦されるため、毛羽立ちや毛玉が形成されやすい。
ズボンの内股やお尻、太もも裏
歩行時の摩擦により、ズボンの内股部分は特に毛羽立ちしやすい場所です。
お尻や太ももの裏は、椅子などに座った時の摩擦で毛羽立ちやすい。
背中と肩部分
特にジャケットやコートのようなアウターでは、背中や肩部分がバッグや背もたれなどに摩擦されやすく、毛羽立ちが起こりがちです。
日々の暮らしで、摩擦を避けることは難しいですが気がけることで、なるべく毛羽立ちを抑えることができます。
毛羽立ちしやすい素材としにくい素材
毛羽立ちの発生は、使用される素材の種類によって大きく異なります。
以下に、毛羽立ちしやすい素材としにくい素材を挙げてみましょう。
毛羽立ちしやすい素材
- ウール
- カシミア
- アンゴラ
- アクリル
- レーヨン/ビスコース
- ポリエステル
天然繊維は摩擦や洗濯による物理的なストレスに敏感で、繊維が容易に突出しやすくなります。
また、化学繊維は摩擦に対しては比較的強いですが、静電気の影響を受けやすく、それが毛羽立ちの原因になることがあります。
毛羽立ちしにくい素材
- 綿(コットン)
- 麻(リネン)
- シルク
- ポリウレタン
綿や麻は強い繊維を持ち、摩擦に強いため、耐久性の高い衣類やインテリア用ファブリックに良く使われます。
シルクは滑らかな繊維構造をしていて、適切なケアを行うことで毛羽立ちを抑えることが可能です。
ポリウレタンは伸縮性がありつつも摩擦に強く、スポーツウェアや伸縮性を要する衣類によく使われます。
注意点
- 素材の混合: 多くの衣類は複数の素材を混合して作られているため、各素材の特性を理解し適切にケアする必要があります。
- 織り方と編み方: 衣類の織り方や編み方も毛羽立ちの発生に影響を与えます。密度が高い織り方や編み方の方が毛羽立ちに強いです。
これらの特性を理解することで、衣類の選択やケアの際に、毛羽立ちをより効果的に防ぐことができます。
毛羽立ちの直し方や抑える方法
毛羽立ちの直し方や抑える方法には、様々なアプローチがあります。
重要なのは、衣類の素材と状態に合わせて適切な方法を選ぶことです。
1. クリーニング
プロのクリーニング店では、毛羽立ちに特化した処理が可能です。特に高品質な衣類やデリケートな素材に適しています。
2. 毛玉取り器やカミソリ
毛玉取り器や新品のカミソリを使用して、慎重に毛玉や毛羽立ちを取り除きます。衣類を平らな面に置いて行うと効果的です。
3. リンスや柔軟剤の使用
洗濯時にリンスや柔軟剤を使用すると、繊維が柔らかくなり、毛羽立ちを抑えることができます。
柔軟剤には、静電気を抑える成分も配合されているので洗濯する時は使用することをおすすめ。
4. アイロン
適切な温度設定でアイロンをかけることで、毛羽立ちを抑え、衣類の外観を整えることができます。
5. 毛布用ブラシや衣類ブラシ
衣類用柔らかめブラシ(馬毛など)を使用して、優しく毛羽立っている部分を優しく解かしましょう。
特にウールなどの天然素材に有効です。
6. 毛羽立ち防止スプレー
ドラッグストアなどでも購入可能な毛羽立ち防止スプレーを使用することで、摩擦による毛羽立ちを予防できます。
注意点
- 素材の確認: どの方法を選ぶにしても、衣類の素材と洗濯表示を確認し、適切な方法を選んでください。
- テスト: 新しい方法を試す場合は、目立たない部分でテストしてから全体に適用することをお勧めします。
- 繊細な素材への注意: シルクやレーヨンなどの繊細な素材は特に注意が必要です。強い摩擦や高温は避けてください。
毛羽立ちはクリーニングで直す事は可能か?
毛羽立ちはクリーニングで直すことが可能です。
クリーニング店では、プロの手によって衣類の素材や状態に合わせた適切な処理が行えます。
以下に、クリーニングによる毛羽立ちの対処法について詳しく説明します。
毛羽立ちの原因となる摩擦や過度な洗浄を避けるために、手洗いやデリケート洗いなど、衣類の素材に合わせた洗浄方法を選択します。
また、シミ取りなどの目的でクリーニングを依頼する際に、毛羽立ち処理も希望する場合は事前に毛羽立ちが気になる部分を合わせてお伝えしましょう。
クリーニング店によっては、無料で処理してくれる場合もあります。
こちらは事前に確認しておきましょう。
- 衣類の素材と状態を確認: クリーニング店に衣類を持ち込む前に、その素材と状態を確認し、適切な処理が可能かどうか相談しましょう。
- クリーニング店の選択: 毛羽立ちの処理を得意とするクリーニング店を選ぶことが望ましいです。店の評判や経験、専門性を事前に確認しましょう。
毛羽立ちを防ぐ洗濯方法
毛羽立ちを防ぐための洗濯方法にはいくつかの重要なポイントがあります。
適切な洗い方と洗濯機の使用、柔軟剤や洗剤の選択が鍵となります。
洗濯機の場合
洗濯機で洗う場合は、洗濯ネットに入れてデリケート洗いや手洗いモードを選び、高温の水や強い洗濯サイクルは避け、衣類に優しい洗濯を心がけましょう。
また、繊維を傷めない、中性またはおしゃれ着洗剤の使い、過度な洗浄力のある洗剤は避けます。
柔軟剤は繊維を滑らかにし、摩擦を減少させるため、毛羽立ちを防ぐ効果があります。
ただし、たくさん使えばいいということではないでの、表記されている規定量を守って使ってくださいね。
手洗いの場合
ウールやシルクなどのデリケートな素材は手洗いすることをおすすめします。
衣類を優しく押し洗いし、強くこすったり絞ったりするのは避けましょう。
その他の注意点
- 衣類の裏返し洗い: 摩擦によるダメージを最小限に抑えるため、衣類を裏返して洗濯することが有効です。
- 乾燥方法の工夫: 乾燥機の使用は避け、自然乾燥を推奨します。乾燥機を使用する場合は低温設定を選びます。
これらの方法を取り入れることで、衣類の毛羽立ちを防ぎ、長く美しい状態を保つことができます。