スーツなど洋服が白くなる原因!白化現象の直し方

スーツや黒や紺色の洋服が白っぽくなって新品のような輝きをいつの間にか失っていることに気づいたことはありませんか。
洋服の着用と洗濯を日々繰り返している限り白化現象が起こってしまいます。日常的に使用していると色の変化に気づきにくいのがこの現象の難点です。今回はそんな白化現象について考えていきましょう。
スーツなど洋服が白くなる原因と対処法
白くなると言ってもシミや汚れなどもありますが、白化現象については生地そのものが傷んでしまっていることが原因です。そのため洗濯やクリーニングでは落ちず、更に生地を擦ったりすると事態を悪化させてしまうこともあるので気をつけて下さい。
主な原因は3つです。
■1. テカリ
「摩擦」と「圧着」によって起こります。多くのスーツ使われているウールは糸が細く繊維が繊細なため摩擦や圧着による影響を受けやすいのです。テカリができると生地表面がツルツルの状態になり、光が反射しやすくなって白く見えてしまいます。
■2. 毛羽立ち
着用や洗濯による「摩擦」で繊維の表面が毛羽立ちます。そうすると光の反射が多くなるため、白く変化して見えます。
■3. 色褪せ(色落ち)
紫外線や日焼けによる色褪せ、洗濯で使用する洗剤との相性や洗濯そのものも色落ちする原因となります。
このように日々の生活の中で着用と洗濯を繰り返している以上、白化現象は避けては通れない洋服の劣化だということです。それを理解した上で、抑えるヒントとなる対処法を紹介していきます。
スーツの肘や袖や肩や膝が白くなる原因と対処法
白化現象でやはり一番目立つのはスーツを始めとする黒や紺色の洋服です。特にスーツは他の洋服と比べて枚数を持っているものでもなく、頻繁に買い直せる物でもありません。極力白くならない工夫をして長持ちさせたいところです。
まず原因から考えていくと、これらは共通して日常的な動作、姿勢、癖などの習慣が大きく関係しています。部分的に解説していきましょう。
■肘や袖
デスクワークの際に肘を付いたり、袖は机と擦れやすい場所なのでスーツのジャケットを脱いでも差支えのないシーンであれば脱いで作業することで防げます。
■肩
クリーニング店でもらうような細いハンガーやサイズの合っていないハンガーを使うと、型崩れだけでなく肩先に圧力がかかったり、余計な摩擦が起きてしまいます。また脱いだジャケットを椅子の背もたれに掛けたりするのも同じ理由でよくありません。
そのため厚みのあるスーツの肩ラインに沿った緩やかなカーブのハンガーを使用することをおすすめします。
そしても一つ、普段使っている鞄を見直すことです。リュックサック、ショルダーバック、トートバッグのいずれかを使っているならこれらは肩の位置に肩紐やハンドルが当たるため、擦れている可能性も考えられます。
両手が使えるリュックサックやショルダーバックはとても便利で使い勝手も良いですが、気になる場合は手提げのビジネスバックに変えることも検討してみて下さい。
■膝
しゃがんだり膝をつく姿勢、もしかしたら足を組んだ時の摩擦も関係しているかもしれません。膝の部分に負担のかかる動きを減らすことを意識してみましょう。
どうしても膝をついて作業する場合などは面倒ですが作業着などに着替るのも一つの手です。
スーツの襟や脇やポケットが白くなる原因と対処法
■襟
こちらも斜めがけのショルダーバックを使っていると擦れやすいです。また車のシートベルトも同じことが言えます。
前述の通り鞄を手提げに変えてみることや、ジャケットを脱いでシートベルトをするなど直接的に触れないようにしましょう。
■脇
この白化現象は生地が濡れた状態で擦れるとより白くなりやすいため、汗をかきやすい脇は他の部分と比べ湿りやすくより一層注意が必要になります。過度な動きはしないよう注意しましょう。
■ポケット
ポケットに名刺や物を入れたり、ボールペンを挿していると出し入れする時に摩擦が起こります。内ポケット以外は基本的には物を入れないことです。
スーツの股やズボンのチャック付近が白くなる原因と対処法
■股
自転車に乗る時の摩擦が考えられます。例え走行距離が短かったとしても自転車をこぐ度にサドルとスーツのパンツが擦れると思うとかなりの負担が考えれます。
ひどい場合は白化どころか生地が破けてしまうこともあるほどです。極力ズボンが直接サドルに触れないようにするしかありませんので通勤用のズボンを別で用意することをおすすめします。
その方が自転車もこぎやすいですし結果、快適に通勤もできるはずです。
■ズボンのチャック付近
この白化現象のもう一つの特徴として、縫製部や附属品が付いている部分の凹凸は擦れやすく白くなりやすいことです。そのためチャック付近も白くなりやすい部分になります。
手を洗った後の濡れた手でチャックを触ったりすると脇と同様に更に白化現象を加速させてしまいますのでしっかり乾かした手で触れるようにしましょう。
スーツや洋服の洗濯後に白くなる原因と対処法

次に洗濯で白くなるケースについてです。スーツも家庭で洗える時代になりましたが、洋服以上に丁寧に扱う必要があります。洗たく前には洗濯表示を必ず確認してから行いましょう。
考えられる原因は以下の通り3つです。
- 繊維の毛羽立ち
- 紫外線による色褪せ
- 洗剤に含まれる蛍光増泊剤
繊維の毛羽立ち
冒頭でも述べましたが洋服を着て動いたり、洗濯をすることで起こる摩擦が原因で「毛羽立ち」が発生します。そして毛羽立ってしまったスーツや洋服は光に当たると白く見えてしまうのです。
中でも毛羽立ちやすいのが濡れた状態での摩擦です。つまりこの毛羽立ちを抑えるには洗濯時に起きる摩擦を極力抑えることがカギとなります。
対処法としては洗濯ネットに入れて洗濯をすることで衣類同士が擦れて起こる摩擦から守ることができます。ポイントは洋服をたたんだ時のサイズに合った洗濯ネットを使用すること。
サイズが合っていないと洗濯ネットの中で洋服が大きく動いて摩擦が起きる原因となってしまいます。100円ショップでも手軽に購入できますので洋服に合わせた洗濯ネットを準備しましょう。
もし洗濯ネットがご自宅になければ洋服を裏返しにすることでも毛羽立ちを防ぐことができます。
紫外線による色褪せ
洋服も日焼けをします。そして紫外線によって繊維や染料が劣化してしまうことで色褪せてしまいます。
干し方や保管場所を工夫して防ぎましょう。直射日光が当たらないように陰干しが基本にはなりますが、照り返しや窓越しの光にも注意して下さい。裏返しにして干すのもおすすめです。
また蛍光灯でもこの色褪せは起こります。屋内であっても保管場所にも気をつかいましょう。
洗剤に含まれる蛍光増白剤
数多くの洗濯洗剤が存在する中でその液性や成分に注目して購入している人は少数派かもしれません。しかし洗濯洗剤とひとくくりできないほどそれぞれ特徴があります。
その中でも「蛍光増白剤」と呼ばれる衣類を白く見せるための成分が含まれている洗剤があります。この成分は白物に使うのは良いのですが、逆に色物に使うと白っぽくなる原因となります。
特にスーツや濃色の洋服にはおしゃれ着用の中性洗剤がおすすめです。いつものお洗濯で使っている洗剤を見直して使い分けてみるだけでも仕上がりに変化を感じることができます。
アイロンで洋服が白くなる原因と対処法

アイロンで白くなる場合「アタリ」と「テカリ」によるものだと考えられます。これらは着用時の摩擦や圧着とは少し違うアイロンによって起こる白く光ってしまうようなトラブルです。
アタリ
アタリとはアイロンの押し付けすぎることで厚みに差がある部分に跡が浮き出してしまうことです。生地の重なっている縫い目や折り目に出ることが多いです。
アイロンを押し付けないことや、厚みに差のあるような凸凹した部分の間にタオルを挟むことで防げます。
テカリ
テカリとはアイロンの重みによって繊維の丸みが潰され、繊維に面ができることで光を反射して白くテカってしまうことです。
あて布をすることで対策することが出来ます。当て布は綿100%のハンカチなどがおすすめですが、当て布としての商品が各アイロンメーカーから販売もされています。
また熱に弱い素材に高温のアイロンを当てることでもテカリが発生する可能性があります。洗濯表示にあるアイロンの設定温度を守るようにしましょう。
日焼け止めで洋服が白くなる原因と対処法

夏に限らず一年中紫外線ケアが必要とされている中で、手放せないアイテムの一つとなっています。特に女性はお化粧をする際のUVケアとして多くの方が日焼け止めを使用しているのではないでしょうか。
一般的な日焼け止めは液体そのものが白いため、その日焼け止めを塗った肌と洋服が触れることで付着し白くなります。
- ベビーパウダーでコーティングする
- 日焼け止めがしっかり乾いてから洋服を着る
- 日焼け止めのタイプを変える
ベビーパウダーでコーティングする
服の内側にベビーパウダーをはたいておくことで日焼け止めが服に付着するのを防げます。またベビーパウダーは洗濯においても汚れを落としてくれる働きがあります。
日焼け止めがしっかり乾いてから洋服を着る
日焼け止めを塗った後は肌表面が乾いたことを確認してから洋服を着用しましょう。肌に馴染むと服には付着しにくくなります。
日焼け止めのタイプを変える
一般的な日焼け止めはそのものが白いと述べましたが、それは日焼け止めに含まれている「酸化チタン」や「酸化亜鉛」が関係しています。これらは日焼け止めの中でも「紫外線散乱剤」とよばれるタイプになります。
またこれらの成分は「白色顔料」と呼ばれ、化粧品では着色剤として位置づけられています。そのため肌を白くするだけでなく洋服に付けば白く色移りをしてしまうのです。
一方、白くならない日焼け止めとして「紫外線吸収剤」が配合されているものがあります。しかし肌の弱い方には刺激になることがありますので化粧品と同様、ご自身のお肌に合うかどうかを重視しつつ検討してみましょう。
また「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の両方が配合されているものもあるので、日焼け止めを選ぶ際は今後注目してみて下さい。
制汗剤で洋服が白くなる原因と対処法
汗をかく季節になると出番が多くなる制汗剤。特に脇汗は洋服で目立つだけでなく臭いの元にもなるためエチケットとして女性男性問わず汗対策として取り入れている方は多いのではないでしょうか。
最近では制汗剤も様々なタイプが販売されていて一般的なスプレータイプ以外でもクリームタイプ、スティックタイプ、ロールオンタイプなど使う場所や肌にあったものなど選べるようにもなりました。
そんな頼れる制汗剤ですが、洗濯おいてはこれが原因でトラブルになることがあります。特にパウダーが霧状に出るスプレータイプでは肌に噴きかけずに洋服にかける間違った使い方をしたり、洋服を着用しながらスプレーするとその粉も洋服についてしまいます。
この白い粉はベタつく汗を吸着して肌をサラサラにしてくれたり、臭いの元となる菌の繁殖を抑えてくれる働きをします。
白くなるのを防ぐためにはノンパウダータイプの制汗剤を使用すること、制汗剤の中でも白くなりにくいロールオンタイプにする方法が挙げられます。あわせて着用する洋服も黒っぽい洋服よりも白ならもちろん目立ちません。
さらにもう一つ気をつけたいのは洗濯の仕方です。白い粉が目に見えていなくてもいつものお洗濯では繊維に付着した制汗剤が落としきれず残ってしまっていることがあります。
制汗剤を使用したら洗濯洗剤を脇などに直接塗布して部分洗いをすること、洋服を着用するのは制汗剤を使用する際はしっかり乾いてからにするなど工夫してみましょう。
黒い服が白くなる原因と対処法
冒頭で述べた通り、白化現象は洋服を日々洗濯や着用している以上起こります。極力白くなることを抑えつつ風合いを保つことを意識しましょう。
繰り返す洗濯による色落ちや毛羽立ち、そして日焼けや紫外線などで色褪せ、そしてテカリやアタリで白っぽく見えることを紹介してきました。詳しくは、この記事で前述した「スーツや洋服の洗濯後に白くなる原因と対処法」を参考下さい。
また、それらに加えて黒い服は白い洗濯物と一緒に洗うとそれらの繊維が付着してさらに白っぽくなってしまいます。洗濯ネットの使用だけでなく、黒っぽい色の物だけ別で分けて洗うことも有効的です。そして洗濯方法を見直すことだけでなく、連続着用による傷みから守るために洋服を休ませてあげることも長持ちするコツになります。
白化現象の染め直しなど直し方
部分的に修復したい場合は布用染色ペン、布絵の具を使う方法があります。全体的に修復したい場合は家庭用染色キットなどを使って自宅でも染め直しや、カラーチェンジに挑戦することもできます。
安価で手軽にできるセルフでの染め直しですが、服の素材とカラー剤との相性、やり方によっては色ムラができてしまうリスクもありますので、仕上がりはやってみないとどうなるか分かりません。
より手軽な方法としては、洗濯機に入れるだけで衣類の黒色を取り戻すことができる復活シートがあります。
こちらは黒色限定となりますが色だけでなく、気になる毛羽立ちのダメージも一緒にケアしてくれるという優れものです。諦めて捨ててしまう前に一度試してみる価値はあります。
■ドクターベックマン ブラック&ファイバーリフレッシュ

出典「Amazon」
日本では馴染みのない復活シートですが使い方はとても簡単です。黒い衣類を集めて洗濯機にこのシートを1~3枚入れていつものお洗濯をするだけです。
洗濯後はシートを取り除き、ゴミ箱へ捨てたらおしまいです。定期的に使用すると黒色衣類の色もちが良くなります。
白化現象をクリーニングで直せるか?

ここまで解説した通り、原因としては綺麗に洗濯をしたり、上手にアイロン掛けできれば直ると言う問題ではない事が多いので、普通にクリーニングに出すだけでは白化現象は直せない事が殆どです。
クリーニング店によっては、色落ちした衣服の染め直しを行っていたり、染め直しを専門に実施しているお店もあります。依頼する前にクリーニング店が対応してくれるかどうか確認しておきましょう。
お店に依頼するとコストと時間はかかりますが、お気に入りの洋服を復活させたい時にはプロの手で染め直してもらえるので一つの手段として覚えておきましょう。