ワイシャツの黒ずみの原因と落とし方をプロが解説

ワイシャツについてしまった黒ずみ。普段のお洗濯ではなかなか落ちずに諦めてしまっていませんか。そんな黒ずみの原因と効果的な落とし方を紹介します。
ワイシャツの黒ずみの原因
洗濯しても取れない黒ずみ原因は一体何なのでしょうか。まずはその黒ずみやすい場所と考えられる原因について確認していきましょう。
ワイシャツの襟袖脇の黒ずみの原因
黒ずみの原因は黄ばみと同じく皮脂汚れです。特に脇は季節に関係なく汗をよくかくので黄ばみや黒ずみのトラブルが起きやすい場所になります。
そして襟、袖に関しては、インナーを着ていても直接肌に触れる部分になるので、肌と生地がこすれることによって、より繊維の奥まで汚れが入り込んでしまいます。
汗などの皮脂汚れが酸化し黄ばみとなり、それが蓄積されたところにホコリなどのゴミが付着し黒ずみとなっているので、黄ばみ以上に頑固な汚れなのです。
ワイシャツの全体の黒ずみの原因
黒ずみの原因は皮脂汚れにホコリなどの汚れが付着したものと述べましたが、全体的にワイシャツが黒ずむ場合はどうでしょうか。この場合考えられるものとして4つ原因があります。
- すすぎ回数が足りていない
- 洗剤が適量ではない
- 洗濯機に一度に入れる量が多すぎる
- 洗濯槽が汚れている
すすぎ回数が足りていない
節水や時短のためにすすぎ1回にしていませんか?
使用する洗剤によってはすすぎ1回でOKと表記されているものがありますが、すすぎが少ないため皮脂汚れや洗剤がきれいに落としきれていない可能性があります。
洗剤が適量ではない
洗剤はもちろん少なすぎても汚れを落としきれませんし、多すぎてもダメです。意外とやりがちなのが洗浄力を高めようと規定量以上に洗剤を入れてしまうことです。
これだと逆に洗剤をきれいに落としきれず、繊維に残ってしまい洗い残しが発生します。
洗濯機に一度に入れる量が多すぎる
一人暮らしのまとめ洗いや、家族の人数によっては一度で回す量が多いことも考えられます。理想的な量は洗濯機の大きさの7~8割程度です。
パンパンに入れすぎると洗浄力が落ちてしまいますので一度で洗う量を見直しましょう。
洗濯槽が汚れている
洗濯槽は見えない部分ですがきちんとお掃除はできているでしょうか。カビだけでなく洗濯槽は汚れも溜まりやすいため定期的に専用クリーナーを使用したお手入れが必要です。
汚れた洗濯槽で洗濯することによって衣類にその汚れが付着してしまうことも考えられます。
ワイシャツの黒ずみの落とし方

次に黒ずみの落とし方を紹介します。頑固な汚れなので洗浄力の高い洗い方になります。その分ワイシャツにダメージを与えてしまうことも考えられるので、洗濯表示を確認をしてから行いましょう。
ワイシャツの黒ずみにおすすめの洗剤や漂白剤
洗濯洗剤を購入する際、液性や成分まで見ている方は少ないとは思いますが黒ずみを落とすには適切な洗剤を使用することが不可欠です。
洗剤は皮脂汚れに強く洗浄力もある、粉末の弱アルカリ性の洗剤がおすすめです。
おすすめ洗剤と漂白剤
- 粉末弱アルカリ性洗剤…「アタック高活性バイオパワー」
- 液体弱アルカリ性洗剤…「アリエールバイオサイエンスジェル」
- 粉末酸素系漂白剤…「酸素系漂白剤」
Kao アタック 高活性バイオパワー

出典「花王」
粉末洗剤を使用する時、心配なのが洗剤の溶け残りです。
しかし、アタック高活性バイオパワーは洗剤の粒の真ん中が空洞のマイクロ粒子になっているため水にふれた瞬間に溶けるという優れものです。蛍光剤配合のため白いワイシャツの洗濯に向いています。
そのため淡い色のワイシャツなどその他の色物の衣類を一緒に洗うと白っぽくなってしまう場合がありますのでご注意下さい。
P&G アリエール バイオサイエンスジェル

出典「P&G」
液体洗剤だと中性が多い中、こちらは液体の弱アルカリ性洗剤です。これまで液体洗剤を使用してきた方には使い方も同じなので簡単に使用できます。
すすぎ1回でOKとありますので時短や節水をしたい方にはおすすめです。こちらもアタック高活性バイオパワーと同様、蛍光剤が入っていますので白いワイシャツ以外で使用する際にはご注意下さい。
シャボン玉石けん 酸素系漂白剤

出典「シャボン玉石けん」
粉末の酸素系漂白剤の主成分は「過炭酸ナトリウム」です。こちらも液体タイプよりも粉末の方が洗浄力があります。
ただし、ワイシャツの代表的な素材である綿やポリエステルなら問題ありませんが、ウールやシルクなどのデリケートな素材には使用できませんので注意して下さい。
洗濯以外にもお掃除など幅広く使えるので一家に一つあると便利です。
ワイシャツの黒ずみを落とすつけ置き洗いのやり方
準備するもの
- ゴム手袋
- 洗濯桶
- 粉末の酸素系漂白剤
- 40度のお湯に粉末の酸素系漂白剤を溶かし入れる
- 汚れた部分をつけおく(30分~1時間程度)
- 落ちているか確認する<落ちていなければ1~2を繰り返す>
- すすぐ
- 洗濯機で通常の洗濯をする
ワイシャツの襟袖脇の黒ずみの落とし方
準備するもの
- 食器用洗剤
- 歯ブラシ
- 食器用洗剤を汚れている部分に垂らして歯ブラシで汚れをかき出す
- 40℃のお湯ですすぐ<落ちていなければ1を繰り返す>
- 洗濯機で通常の洗濯をする
ワイシャツのポケットの黒ずみの落とし方
ワイシャツのポケットの黒ずみは糸くずなどゴミが溜まって黒く汚れて見えている可能性が高いです。洗濯をするとポケットにそれらのゴミが溜まりやすいですので綺麗に取り除きましょう。
取り除き方は洗濯前ならポケットを裏返しにして歯ブラシなどで汚れをかき出す方法がおすすめです。
洗濯後は裏返すことでワイシャツがシワにならないようにハンガーに吊った状態でガムテープを粘着面が外になるように小さく折って、ポケットの中に入れてゴミをくっつけて取りましょう。
ゴミ以外の汚れであれば基本のつけ置き洗いや、襟袖脇の部分洗いを参考にしてみて下さい。
ベルトが原因のワイシャツの黒ずみの落とし方
ベルトの革が摩擦でこすれると白いワイシャツに色移りすることがあります。
樹脂コーティングされているベルトなら気になりませんが、革のものだと汗をかいたり、雨の日で湿度が高いと特に色移りしやすくなります。使用しているベルトを日によって使い分けることや、革の防水スプレーやワックスでお手入れをするのも効果的です。
ベルトの色移りには50℃以上のお湯と規定量2倍の弱アルカリ性洗剤使用することがポイントです。ただし、洗濯表示にある洗浄液の上限温度を超えてしまう可能性があります。
その場合、生地にダメージを与えてしまうリスクがありますので十分注意して下さい。
準備するもの
- ゴム手袋
- 洗濯桶
- 弱アルカリ性洗剤
- 漂白剤
- 50℃のお湯に規定量の2倍の弱アルカリ性洗剤と漂白剤を溶かす
- 色移りした部分をつける(30分程度)
- 落ちているか確認する<落ちていなければ1~2を繰り返す>
- すすぐ
- 洗濯機で通常の洗濯をする
カビが原因のワイシャツの黒ずみの落とし方
ジメジメした梅雨の時期以外はカビとは無縁に思えるかもしれませんが、季節に関係なく着用したワイシャツをすぐに洗わず置いていたり、風通しの悪い場所で収納していたりすると黒カビが発生します。
それは気温と湿度(水分)の問題だけでなく、ワイシャツに残った皮脂汚れが関係しているからです。一度発生した黒カビは繊維の奥まで入り込んでいるので通常の洗濯では落とせません。
頑固な黒カビにはより洗浄力の高い粉末の酸素系漂白剤でつけ置き洗いがおすすめです。そしてカビは目で見えるようになってからではかなり繁殖が進んでいる証拠ですので、そこまでならないような予防が大切です。
皮脂汚れをしっかり落としきるために日頃から使用している洗剤を見直すのも効果的です。中性の液体洗剤よりも弱アルカリ性の粉末洗剤の方が皮脂汚れに強く洗浄力もあります。
落とし方は前述したつけ置き洗いを参考にして下さい。
ワイシャツの時間が経った落ちない黒ずみの対処法
黄ばみよりもより頑固な黒ずみの汚れである上に、時間が経ってしまったものはなかなか家庭では落とせない汚れとなっているはずです。
もしご自身で頑張ってみようと思うなら襟袖脇の黒ずみの落とし方で紹介した部分洗い後、つけ置き洗いのやり方をダブルで試してみて下さい。
それでも落とせず復活させたいワイシャツならクリーニング店に相談することをおすすめします。
クリーニングでのワイシャツの黒ずみの対応方法と料金目安

クリーニング店では基本的に洗浄する前にワイシャツの汚れをチェックして前処理の段階で落とせるだけの染みを除去します。そこで落とせる黒ずみなら前処理の染み抜きは無料で行ってくれるお店もあります。
しかし、この前処理で落ちないような黒ずみは有料の染み抜きとなるケースが多いです。黒ずみの程度や範囲によっても一概には言えませんが、その染み抜きのオプション価格は500円~5,000円程です。
価格に大きく幅があるのは染み抜きと一言でいってもシミの種類や範囲や程度によっても施される内容も異なるからです。そのためお店によっては染み抜きの価格を明記しておらず見積対応となるところが多いです。
もし予め定まった価格を希望するなら、クリーニングの仕上がりのコースを分けて価格設定しているお店がありますので、上質なコースで依頼すればその価格内で落としてもらえるケースもあります。
そして染み抜きに関しては価格の幅だけでなくお店によっても技術の差が出てしまいます。シミ抜きを依頼する際は洗いの質、料金、サービス等を比較して信頼できるお店を選ぶ事も大切です。