プロが教える衣替え時のコートの洗濯と収納方法
衣替えの時に冬物の中でも洗濯が難しいコート。冬の間に頻繁に洗えないし、洗う事が無い人もいらっしゃると思います。
そんなコートには汚れがビッシリ溜まっているので、シーズンオフで長期保管前の洗濯が重要なのと、トラブルが起きない様に正しい収納方法を行う事が大切です。
冬服のコートの衣替え時期はいつ?
衣替えの時期はその季節の最高気温が目安です。
最高気温が15℃以下になれば本格的に冬服への衣替えの時期ですが、このくらいだと厚手のコートは暑いと感じる事もあるので、コートを着用する場合は薄手のトレンチコート等で、冬物の厚手のコートは最高気温が8℃以下を目安にしましょう。
急に寒くなって着用しようと思って久し振りに収納から取り出したら、シミや汚れが付いていたり、変な臭いがしたり、カビが生えて着用できないといった事のないように、週間予報などで最高気温を見て、そろそろだと思ったら取り出し必要なら洗濯やクリーニングを行いましょう。
衣替えでのコートの洗濯方法と注意点
冬の時期に欠かせないコートですが、寒い冬の外出時は毎日のように着用するし、家庭での洗濯が難しく頻繁にクリーニングに出す事も難しいから、汗や皮脂、ファンデーション等のメイク汚れ、飲食店やタバコのニオイ、排気ガスや大気汚染物質など、シーズンオフになる時には汚れがかなり溜まっています。
汚れが目立たなくても、それらの汚れは必ず付いているので、汚れを落とさず収納に保管してしまうと、シミや黄ばみ、カビや臭い、ダニや虫や虫食いの原因になるので注意が必要です。
家庭で洗濯が難しいコートですが、クリーニングに出さないなら必ず洗濯を行ってから保管しましょう。
コートでは上記の洗濯表示が入っている事が殆どです。左から家庭洗濯禁止、漂白剤禁止、タンブル乾燥禁止、ドライクリーニング可。
コートの素材と形が水洗いをするとダメージを負って着れないくらいになってしまう可能性があるからです。
特に一番左のマークがある場合は水洗いでトラブルを起こす可能性が非常に高いので、クリーニングに依頼する事をおすすめします。それらの表示がない場合は以下の手順を進めて下さい。
コートはかなりデリケートな衣類なので、どうしても家庭で洗うならなるべくリスクを抑える為にも中性洗剤を使いましょう。
長期間洗わず使って溜まった汚れは頑固なので、いきなり洗濯機などで洗い始めずに、襟や袖、ポケット部分など、汚れが付きやすい場所の前洗いから始めましょう。
汚れている部分に直接洗剤を塗布し歯ブラシや柔らかいスポンジで優しくトントンと叩いてあげましょう。強くゴシゴシしてしまうと、ダメージが残ってしまうので注意が必要です。
水洗い不可の物を洗う事になると思うので、基本的には手洗いでとにかくダメージにならない様に優しく押し洗いする事をおすすめします。
■手洗いの場合
1.ファー等の装飾品は外す
2.大き目の桶に30℃程のぬるま湯に中性洗剤を溶かす
3.コートを入れ20回ほど優しく押し洗いを行う
4.ぬるま湯を綺麗な物に変えてすすぎを行う
こすった方が汚れが落ちやすいと思うかもしれませんが生地を傷めてしまう可能性が高いので優しく行うのがポイントです。
また、すすぎで洗剤が残るとシミの原因になるので、洗剤が落ち切るまで行いますが、過剰に行い過ぎるのも注意が必要なので、洗剤を押し出す様ににすすぎを行って下さい。
■洗濯機で洗う場合
1.ファー等の装飾品は外す
2.ファスナーやボタンを留める
3.2つ折りくらいでピッタリ合う洗濯ネットに入れる
4.ドライコースや手洗いコースで洗う
全自動洗濯機の場合はコースを選ぶと脱水まで自動で行ってくれますが、脱水時間は短い方が良いので、すすぎまでで止まる様に設定するか、できない場合は手動で止めましょう。
脱水を長々とやってしまうとコートが型崩れやシワシワになってしてしまうので、30秒から1分程度の短時間だけ行います。
通常の洗濯でも自動洗濯機の脱水時間は長いので、水が飛ばなくなった程度で止めた方が衣類へのダメージが少ないのでおすすめです。
脱水が終わったら取り出し、大きめのタオルで包みタオルドライしていきます。無理にゴシゴシせず、タオルで包んで優しく押す程度にしましょう。これで表面を傷つけずに脱水を行えます。
コートはハンガーで吊り保管が基本だし、干す時も吊り干ししたくなりますが、吊り干しだと上下が長く下に水分が溜まって乾きにくくなるので、平干しを行いましょう。
コートが干せる大きな平干し用ネットが必要になります。干すのは天気が良い日に風通しの良い陰干しで、10時半頃~14時頃で行いましょう。
途中で1回裏表を返して、全体が完全に乾ききる様な天気や気温と湿度の日を選ぶ様にして下さい。
完全に乾かしたら取り込んで収納保管する事になりますが、その前にブラッシングを必ず行いましょう。
ブラッシングする事で毛並みが揃うだけではなく、特に外干しした場合は虫や虫の卵が付いている事もあるので、それらを落とす事ができます。
コートはウール等の動物性繊維でできている物が多いですが、動物性繊維は特に虫が好んで食べてしまいます。
綺麗に洗って完璧に乾かしたのに虫食いが発生した場合は、保管する収納の環境が悪いか、ブラッシングせずに虫や虫の卵が付いたままだったか、どちらかが大きな原因になります。
衣替えでのコートのしまい方と上手な収納や保管方法
コートは厚手なので場所を取ってしまいます。ハンガーをかける場所が無かったり畳んで入れるスペースが無かったりすることもあるでしょう。上手な収納方法や正しい保管方法を知ってクローゼットをすっきりさせましょう。
ハンガーに吊るす場合
コートは基本的にハンガーで吊り保管する事をおすすめします。ハンガーで吊り保管する場合はポケットの中身を確認しましょう。
中にものが入っていると重さで型崩れする可能性があるので注意です。ハンガーは型崩れを防止の為にコートの大きさに合った太めの木製の物を使用する事をおすすめします。
ビニール製の衣類カバーは通気性が無く湿気が溜まるので、不織布製の衣類カバーを使用して下さい。
湿気が溜まると色落ちやシミ、ダニや虫やカビの繁殖、臭いの原因になります。収納内で他の衣類とくっつかない様に少しスペースを空けてあげると良いでしょう。
畳み保管する場合
ニットコートやダウンコートは基本は畳んで収納保管する事をおすすめします。
伸びて型崩れだけではなく、ハンガーの先で肩部分にポコッと変な形が付いてしまうので、ニットコートを吊り保管したい場合は必ず滑り止めが付いた物を使いましょう。
ダウンコートは吊り保管すると、中の羽毛が偏ってしまう可能性があるので注意が必要です。
また、ダウンコートはかさばるので圧縮袋を使う方もいらっしゃいますが、羽毛を劣化させてしまうので使用するのは避けましょう。
衣替え時のコートのたたみ方
畳み保管と吊り保管について解説いたしましたが、畳んで保管する場合は単に畳むのではなく、長期保管の際は特に衣類に優しいたたみ方を行いましょう。
1.コートのボタンをはずしてシワを伸ばす
畳む前にシワを伸ばしておくことで畳みシワを防ぎます。外側が大丈夫でも内側がしわになることもあるので隅々まで伸ばしていきましょう。
2.タオルを使って畳んでいく
袖部分をシワにならないよう引っ張りながら背中側に折りコートを二つに折っていきます。この二つに折る際にタオルをはさみましょう。
厚手すぎると場所を取ってしまうので厚すぎには注意です。タオルを挟むことでシワを防ぎ、コート同士の摩擦で衣類を傷めずに済みます。
衣替えで出した後のコートが臭い時のお手入れ方法
衣替えで収納する前に洗ったはずなのにコートが臭う時や、普段使っている時にタバコや食べ物の臭いがついてしまった時のお手入れ方法を紹介します。
臭い消しには使えますが、汚れが落ちる訳じゃないので、あくまで緊急的な対処方法と考えて下さい。これだけでは汚れが溜まっていくので、定期的に洗濯やクリーニングは必要です。
風通しの良い場所で干す
日陰の風通しの良い場所で干すと、ある程度の臭いは取れます。
天日干しで日光を長時間当てると色褪せや日焼けの原因になるので、必ず日陰で陰干しして下さい。ハンガーで吊り干しが基本ですが、吊り干しだと伸びてしまう生地の場合は平干しにしましょう。
仕事や遊びから帰って来て夕方や夜から外干しすると、湿気を吸い込んでしまうのでNGです。外干しは10時半頃~14時頃に行える時に、それ以外は部屋干しで、エアコンやサーキュレーター等で風を当てる方が良いでしょう。
ドライヤーでも良いですが、熱でダメージを受ける素材が使われている事が多いので、冷風で行う事をおすすめします。
スチームアイロンを使う
殆どのコートは熱に弱くアイロン禁止の場合が多いですが、熱に強い素材の場合はスチームアイロンがおすすめです。
アイロン部分は使わずに蒸気を当てるだけですが、それでも弱い素材に使うと縮みや色落ちの原因になるので注意が必要です。
熱を持った蒸気を当てると臭いの原因をキャッチして飛ばしてくれるので臭いが取れやすいです。
スチームアイロンが無かったり、使えない素材の場合は、お風呂上りの湿気が充満した浴室に少しの間干し、その後に完全に乾かすと同じ様な効果を得られます。
消臭スプレーを使う
消臭スプレーは殺菌効果もあり、緊急的な対処法として臭いを取るのに効果的です。しかし、スプレーをし過ぎると水分やスプレーの成分でシミになってしまう事があるので注意が必要です。
アルコールが入った物等は、素材的にNGの場合があるので、自分が使いたいコートの素材がアルコール耐性があるのかどうか等も、きちんと確認しましょう。
衣替えでのコートのクリーニングの注意点
コートのクリーニングは1回でも着たなら、最低でもワンシーズンに1回は出す様にして下さい。ただ、着用の度にクリーニングに出すと生地を傷めてしまい劣化を早める事になるので、汚れが気になりやすい人でもシーズン中の間に1回出し衣替えでもう1回出す程度がおすすめです。
また、クリーニング店には水洗いしてくれるところ、ドライクリーニングを行ってくれるところの2通りあります。先に説明した通り、ドライクリーニングでは汗など水溶性の汚れは落ちないので、衣替えで保管前のしまい洗いの時は水洗いをおすすめします。
水洗い禁止のコートでも、ウェットクリーニングが行える業者なら受けてくれる可能性は高いです。coromoeでもウェットクリーニング可能なので、ぜひご相談下さい。
クリーニング後に自宅に持ち帰ったら直ぐにビニール袋は外し、1度風通しの良い場所で干し完全に湿気を飛ばし乾燥させます。その後に不織布製の衣類袋に入れて収納しましょう。