ドライクリーニングマークを自宅で安全に洗濯する方法
ドライクリーニングマークが付いている衣類は、一般的に型崩れやトラブルを起こしやすい衣類です。今回はそれらを自宅で安全に洗濯する方法をご紹介していきます。
自宅で洗濯する前に知っておくべき事
ご自宅でお洗濯する場合、まずはドライクリーニングとは何か知っておくことが重要です。大切な衣類を傷つけない為に頭に入れておきましょう。
ドライクリーニングで使用する有機溶剤とは?
ドライクリーニングで使用されている溶剤は、石油系などの油の成分でできている有機溶剤です。ドライクリーニングは、水を使用せずにこの有機溶剤で洗浄していく洗い方で行います。
ドライクリーニング推奨の衣類を水洗いすると考えられるトラブルは…
- 色落ち
- 型崩れ
- 縮み
- シワ
- フェルト化(硬化)
- 傷む
このようなことが起こる衣類には、水洗い不可マークがついておりドライクリーニングを推奨するマークが付けられております。
ですが、ドライクリーニングには得意な汚れと不得意な汚れがあります。汚れには大きく3種類あり、油溶性の汚れ・水溶性の汚れ・不溶性の汚れです。
ドライクリーニングに使用される有機溶剤は油溶性の汚れを得意としており水溶性の汚れは落とすことができません。
日々の生活の中で一番衣類につく汚れは水溶性のよごれですので、有機溶剤では落とすことができません。
また、ドライクリーニング溶剤にはいくつか種類があり、クリーニング店ではこれらの洗剤を使い分けて洗浄していきます。
ドライクリーニングの家庭用溶剤はあるか?
クリーニング店で使用される有機溶剤は、普通の洗濯機では排出する事ができないため、クリーニング店では専用の洗濯機が使用されています。
ですが、家庭のお洗濯は、水を使用するので有機溶剤は使用できません。
ドライクリーニング用の洗剤と言う感じで販売ざれている家庭用洗剤もありますが、あくまでもドライ推奨衣類のために作られた家庭用洗剤であって、ドライクリーニング溶剤ではありません。
自宅でドライマークの服を洗濯する際のおすすめ洗剤
ドライマークの洋服を家庭で洗う際のおすすめ洗剤を紹介します。
中性洗剤
洗濯洗剤は、おしゃれ着などに向いている中性洗剤と一般的な粉末洗剤のアルカリ性洗剤と大きく分けて2つあります。
アルカリ性は洗浄力が高く汚れをきれいに落としてくれるのが特徴ですが、洗浄力が高い為にトラブルが発生する可能性が高いです。
ドライを推奨している衣類という事はデリケートな素材で作られているという事ですので衣類に優しいおしゃれ着用の中性洗剤を利用しましょう。
蛍光増白剤 無配合の物
蛍光増白剤は、目に見えない紫外線を吸収し、目に見える蛍光に変える効果があります。ですので衣類を白く見せる事ができます。
色物やデリケートな素材の衣類に使用すると、風合いを損ねてしまうことがあります。ドライマーク表示のある衣類はデリケートなものが多いですので、蛍光増白剤が無配合の洗剤を使用しましょう。
おすすめの洗剤ブランド
■エマール
エマールは、おしゃれ着用の中性洗剤です。蛍光増白剤も無配合ですので衣類に優しく洗うことができます。毛玉や縮み、色あせを防いでくれますので、ドライ表示のものでも使用していただけます。
■アクロン
アクロンもエマール同様おしゃれ着用の中性洗剤です。服の伸びやヨレ、ダメージを防ぎながら衣類を洗浄します。衣類にダメージを与えてしまわない為に、洗濯機で洗う際は、「おしゃれ着コース」などの弱水流コースで洗いましょう。
■ドライアップ
ドライアップは名前の通りドライ推奨の衣類に向いた中性洗剤です。水洗いでは落ちない油溶性の汚れを落とす効果があります。ウールやカシミヤなどのニット製品にお勧めで、3分漬け込むだけで風合いを残しながら洗浄できるのが特徴です。
これらの洗剤は、水洗い不可な物に使う事ができるわけではありませんので、水洗い不可な衣類に使用する場合は自己責任で行いましょう。
ドライクリーニングマークにファブリーズなどスプレーは利用可能?
ファブリーズなどのスプレーは利用可能ですが、薄手のものだとシミになってしまう可能性があります。
厚めのコートなどは使用していただけますが、使用前は目立たないような場所に試しでスプレーしてみることをおすすめします。
シミにならなければ、全体にスプレーしてもいいでしょう。ですが、スプレーはかけすぎには注意が必要です。
水に弱い繊維や防水加工が施されている場合は縮み、色あせ、シミなどのトラブルを招いてしまう可能性があるので注意が必要です。そもそも水に弱い素材や作りだからドライクリーニングマークになっているので、水分を多く含ませるのは得策ではありません。
ドライクリーニングとドライコースの違い
ドライクリーニングとは、クリーニング店が行う有機溶剤を使用した水を使わない洗浄方法です。
水洗いしてしまうと、型崩れしやすい衣類、ウールやカシミヤ、シルク、ダウンに用いられる羽毛などといったデリケートな衣類を洗う時や、油溶性の汚れを落とす際にドライクリーニングを行います。
普段の生活でつく、汗や、尿などの汚れは落とすことができません。
一方、ドライコースとは、洗濯機の洗いの設定やコースの一つであり、水を使用するので、ドライクリーニングとは全くの別物です。
お洗濯で傷みやすい衣類やデリケートな衣類を優しく水洗いするコースであって、ドライクリーニングと同様の洗い方ができる訳でなく、水洗い不可の衣類には使用できません。(ソフトコース、おしゃれ着コースと同じようなコースになります。)
ドライクリーニングマークを普通に洗濯機で洗うとどうなる?
ドライクリーニングマークがついているという事は傷みやすいデリケートな衣類という事です。
水洗い可能なマークが記載されていれば、ソフトコースやドライコースでお洗濯していただけますが、通常洗濯を行うと伸び縮みや型崩れなどのトラブルを招いてしまう可能性があるという事は頭に入れておきましょう。優しく洗うコースが洗濯機に搭載されていない場合は優しく手洗いしてあげましょう。
水洗い不可の物を普通に洗濯機で洗うと取り返しのつかない状態になる事もあるので、ご自宅ではお洗濯を避け、クリーニング店に持ち込みましょう。
水洗い不可やドライ推奨でも、技術が高いクリーニング店ではウェットクリーニングと言う水洗いをしてくれます。汚れが気になったり、しっかり落としたいときは一度ウェットクリーニングを行ってくれるお店に相談しましょう。
ドライクリーニングマークを水洗いすると起きるリスク
ドライクリーニングのマークがついている衣類の代表は、麻やシルクやカシミヤ等のデリケートな素材です。水洗いすると糸が膨張しフェルト化してしまったり、縮みや型崩れを起こしてしまいます。また、その他にも、色落ちやシワになったり、ダウンなどの羽毛がへたる事もあります。
水洗いだけが問題なのではなく、その前の下処理や、洗濯後の乾燥にも問題がある場合も考えられます。
ドライマークで水洗い可能な衣類であっても、絶対にトラブルを起こさないと言う訳ではありません。お洗濯前に洗濯表示をチェックすると共に、洗濯ネットを使用したり、手洗いするなど、なるべく衣類に負担がかからないようにしましょう。
ドライクリーニングマークをコインランドリーで洗えるか?
ご自宅でのお洗濯同様、水洗い可の場合は洗濯可能です。
ですが、コインランドリーも通常の洗濯機と同じでドライクリーニングができるわけではありませんので、水洗い不可の場合は使用できません。
ドラクリーニングマークの服を自宅で洗濯する方法
ドライクリーニングマークがついている衣類で、水洗い不可の場合はご自宅でのお洗濯はしない事をおすすめします。
トラブルが発生して元に戻らない可能性があるので、お洗濯前は洗濯表示タグを確認してから行うようにしましょう。
桶に40は液温は40℃を限度とし、洗濯機で洗濯できる (数字は40じゃなくても可) | |
桶に手は40℃を限度に手洗い可能 |
ドライクリーニングマーク付きで、上記のマークの様に水洗い可の場合の洗い方を紹介します。
ボタンやファスナーがある場合はしっかりと閉めて、汚れた部分を外側にして畳んでから洗濯ネットに入れる。入れる衣類は1つのネットに1着にします。
他の衣類との摩擦を防ぐために、衣類の入れすぎには注意しましょう。
通常の粉末洗剤はアルカリ性ですので衣類を傷めてしまう可能性があります。エマールやアクロン等の、おしゃれ着用洗剤や柔軟剤を使用しましょう。
ドライコースや手洗いコースなど弱水流コースを選ぶ。
ドライ推奨の衣類はデリケートですので、脱水に時間をかけてしまうと、衣類が傷んでしまいます。脱水は30秒ほどにしておき、タオルドライを行いましょう。
デリケートな衣類には平干しがおすすめです。平干しできる場所がない場合は平干しのできる平干し用ネットを使用しましょう。
スーツやコートも水洗い可能でしたらお洗濯することは可能ですが、お洗濯は難しく、シワになったり縮んでし合う場合があるので、無理にご自宅で洗おうとはせず、クリーニングに依頼する事をおすすめします。
ドライクリーニングマークの服の干し方
■衣類に合わせて干し方を変える
先ずは洗濯表示を確認して下さい。干し方については以下の4つのパターンの組み合わせでできています。
四角に1つの縦棒はつり干しが良い | |
四角に1つの横棒は平干しが良い | |
四角に1つの縦棒に斜め線は日陰でつり干しが良い | |
四角に2つの縦棒はぬれつり干しが良い |
■シワを伸ばしてから干す
干す前のひと手間加えるだけで乾燥後の仕上がりが違っていきます。
上下に衣類を優しく大きくパンパンと数回振り、大きなシワを伸ばしましょう。大きなシワを伸ばせたら、小さなシワを手で優しく引っ張り伸ばしましょう。
乾いた状態ですとシワは伸びません。濡れている状態でシワを伸ばすことで仕上がりが綺麗になりますし、アイロンがけする際も手間が省けます。
■ハンガーで吊り干し
シャツ等のハンガーで吊り干ししても重さで型崩れしないシッカリとしている生地は、間隔をあけて風通しを良くし吊り干しがおすすめです。
■専用ネットや広い場所で平干し
ニット等のハンガーで吊り干しすると重さで型崩れの恐れがある衣類やデリケートなものは、平干しがおすすめです。可能なら平干しネットを使いましょう。
ドライクリーニングマークの服のお手入れ方法
中々洗濯のできない衣類は、日々のお手入れが重要です。
1.ブラッシングする
着た後は衣類用ブラシでブラッシングを行いましょう。ブラッシングを行う事で、毛並みを整えたり、衣類についたほこりやゴミ、ダニを除去できます。そうすることで、衣類のダメージを防ぐ事ができます。
2.干して風通しを行う
干して風通しを行う事で、溜まった湿気や臭いなどの成分を飛ばす事ができます。それらが溜まっていると、大きなトラブルに発展する事が多いので、着た後は少し干すだけでも、汚れの蓄積やトラブルの起きる可能性は低くなります。
3.スチームを当ててお手入れ
スチームを当てる事でシワを伸ばす事はもちろん脱臭効果もあります。また、衣類にダニが発生している場合、死滅させる事も可能です。スチームは水蒸気を出すため、水に弱い繊維や熱に弱いものには使用しないようにしましょう。
4.スプレーを使う
臭いや、菌が気になる場合は消臭や除菌スプレーがおすすめです。ですがスプレーはシミになったりする場合もあるので、振り過ぎには注意が必要です。
5.着用頻度を考える
洗えない衣類の場合は着用頻度を減らすことが衣類を長持ちさせるコツです。お気に入りの衣類でも1回着用した後は2、3日休めるなどをして、お手入れを怠らず行いましょう。