服に黒ずみができる原因と落とし方をプロが解説
服の黒ずみが気になった頃には頑固な汚れとなっていてなかなか落ちにくいことはありませんか。その黒ずみは意外なことが原因かもしれません。今回はあらゆる黒ずみの原因からその落としまで紹介していきます。
服に黒ずみができる原因と防ぐ方法
服の黒ずみといってもカビ、汚れ、シミ、変色など原因は様々です。考えられる原因を明確にすれば対処法がみえてきます。
■皮脂汚れ+ホコリ
よくワイシャツの首元や、袖口、脇などで見られる黒ずみが代表的です。
汗などの皮脂汚れがいつものお洗濯では落としきれておらず、酸化して黄ばみになったところにホコリが付着すると黒ずみができてしまいます。
肌と服が直接擦れる部分はより繊維の奥まで入り込んでしまいますので、インナーを着用することやいつもの洗濯洗剤を変えてみるのもおすすめです。
特に汗汚れをしっかり落としてくれるは粉末のアルカリ性洗濯洗剤です。
■色移り
洗濯中に起きる色の濃いものから薄いものに移ってしまうような現象がその一つです。色落ちしやすい衣類と一緒に洗濯したことが一番の原因です。
衣類の染料が洗濯の水に溶けだしたり、衣類同士が濡れている状態で擦れることで色移りが起きてしまいます。
色落ちしやすい衣類とは分けて洗濯することで防げますが、面倒な方には洗濯機に一緒に入れるだけで、ひとまとめに洗うことができる、色移り防止シートを使う方法もあります。
■ドラム式の洗濯乾燥機
ドラム式の洗濯乾燥機では、洗濯を繰り返すとタオルなどが黒ずんできたと言われることがあります。
ドラム式は少量の水で洗浄するため、前述で紹介した色移りしやすいだけでなく、すすぎ1回では洗い残しが起きやすいためより黒ずみやすいということが考えられます。
ドラム式の場合は特に一度で回す洗濯物の量を3分の2程度に留めておき、すすぎ回数を2回にすると、しっかり汚れが落とせるのでおすすめです。
また基本的ではありますが洗剤、柔軟剤の量を規定通りに守ることも洗い残しを防ぐ方法になります。
■黒カビ
洗濯での洗い残しが原因で発生した黒カビもあれば、濡れた状態の衣類を放置していたり、またそれらのものと一緒に保管していたりすることでも発生することもあります。
カビの好む条件は気温20〜30℃、湿度70〜80%と言われています。そのため洗濯が終わった後の閉め切った洗濯機の中も発生しやすい状況です。洗濯後は長時間放置せずできるだけすぐに中から取り出して干しましょう。
乾燥機能付きの洗濯機であれば乾燥機の使用や槽乾燥をすること、洗濯槽自体の定期的なお掃除も大切です。
■ワセリンなどの軟膏
赤ちゃんのいるお家ではお肌のケアとしてワセリンなどの軟膏を使われることがよくあります。ワセリンとは石油から得た炭化水素類を精製した保湿剤です。肌の表面に油膜を張ることで保湿や保護する働きがあります。
つまりワセリンは油ですので一度服に付いてしまうと取れにくく、べっとりと繊維に付いたワセリンは蓄積されると黒ずみとなってしまいます。特に肌着など直接触れる服は付きやすいので要注意です。
ワセリンの使い方にもあるように患部には薄く延ばし必要以上につけすぎないようにしましょう。
■果汁
果汁は服につくとなかなか落ちない代表的なシミの一つです。その中でも手軽で栄養価の高いバナナは子供のおやつやデザートにもぴったりでよく食べる果物ではないでしょうか。
その一方で服の上に落としたり、バナナを食べた手を服でふいたり、あちこち触ったりする機会も多いはず。バナナに多く含まれる酵素は酸化すると黒くなりやすく、なかなか落ちません。
果物を与える時には汚れても良い服にする、食事用エプロンをつける、すぐに洗える状況をつくっておくなどの対策をしましょう。
■銀金属製品のサビ
サビにも様々な種類があり赤茶色やオレンジ、緑色のものもあります。その中でも黒色のサビは銀金属のサビです。金属部分から服に付いたわずかな金属粉が酸化してサビとなりシミとなる場合があります。日頃身につけている装飾品で思い当たるものはないでしょうか。
袖口は腕時計やブレスレット、首元はネックレス、脇は制汗剤が原因であることが考えられます。意外に思われる制汗剤ですが、消臭力が高いとされる銀イオン配合の制汗剤も黒ずみに繋がる可能性があります。
白色や薄い色の服はどうしても目立ちますのでこれらの色の服の着用を避けることや、銀金属製品自体のお手入れをしっかりしておくことも大切です。
■自転車のチェーン
自転車に乗っていて裾の長いスカートがチェーンに巻き込まれたり、おしゃれなロードバイクに乗っているとパンツが黒ずんだりしたことはありませんか。
自転車の汚れはチェーンのサビや機械油、泥だったりといつもの洗濯ではおちにくい汚ればかりです。自転車に乗る時は安全面でもスカートよりもパンツ、パンツも裾が広がっていないものにしましょう。
服の黒ずみの落とし方
このように黒ずみといっても原因が様々ですので汚れによってもアプローチの仕方も変わってきます。まずは水溶性・油溶性・不溶性の汚れに分けて考えてみましょう。
水溶性の汚れ | 汗・果汁・しょうゆ・コーヒー・紅茶・ジュース・ワインなど |
油溶性の汚れ | 機械油・口紅・ファンデーション・チョコレート・カレーなど |
不溶性の汚れ | 泥・鉄サビ・ホコリ・墨など |
水溶性の黒ずみの落とし方
水に溶ける汚れのため基本的にはすぐに水洗いをすれば落とすことができます。
しかし放置すると酸化して黄ばみとなったり、水に溶けなくなる場合もあるためできるだけすぐに落とすことがカギとなります。果汁やワインなど色素が残ってしまった場合は漂白剤を使用します。
油溶性の黒ずみの落とし方
水に溶けない汚れのため油汚れに効く台所用中性洗剤を使うと落とすことができます。
除光液やクレンジングオイルを使った方法もあります。それでも落ちなければまたベンジンなどの有機溶剤を購入することもできるので油溶性の染み抜きも家庭でも挑戦できます。
カレーやミートソースなど色素が残ってしまった場合は漂白剤を使用します。
不溶性の黒ずみの落とし方
水にも油にも溶けない不溶性の汚れは乾かして固形にした状態ではたくか、ブラシで取ります。
それでも落ちない場合は固形石鹸を使ってしっかり繊維の奥まで行きわたらせるように揉み込んで洗いましょう。粒子が小さいと繊維の奥まで入り込んで落としにくいため、漂白剤を使用します。
■漂白剤を使った洗濯の仕方
これらのカビ、油、色素、サビまでも落とすことができるのが漂白剤です。
漂白剤には、白無地衣類専用の塩素系漂白剤と、色柄物に使える酸素系漂白剤がありますが、使い勝手の良い酸素系漂白剤がおすすめです。
頑固な汚れには更に「重曹」を加えると洗浄力がアップします。
酸素系漂白剤は水洗い不可のもの、ファスナーなどの金属性の付属品が付いたもの、含金属染料で染めたもの以外に使えますが、長時間つけ置きすぎると色落ちする可能性もあります。
目立たない場所で色落ちしないか確認しましょう。
汚れを落としたい部分に直接塗布する方法、つけ置きする方法がありますので汚れの程度や範囲に合わせて洗濯ができます。漂白剤を使ってみても落ちない汚れは早めにクリーニング店に相談しましょう。
漂白剤の使用は色落ちや衣類を傷める危険性もありますので、落ちないからといって繰り返し行うとかえって別のトラブルが起こる場合もあります。
汚れによっては時間勝負のものもあるので、自分で試してみて落ちない場合は、何の汚れ(シミ)であるかを伝えた上で、プロにお任せすることをおすすめします。