パターン別の色落ち原因と防止や修復方法をプロが解説
洋服の色落ちと言っても原因は様々です。一般的にはジーンズ、濃色、新しい服を洗濯した時に染料が溶けて色水に変わってしまうような色落ちのイメージが強いのではないでしょうか。
しかし洋服の色落ちは洗濯だけでは留まらず、あらゆる場面で起きています。そして一度落ちてしまったものは修復することが難しいものです。
そうならないための知っておきたい防止策と対処法を紹介します。
服の色落ちはなぜ起きるか?パターン別の原因と対策
大切な服が色落ちしてくすんでしまった上に、一緒に洗濯していた他の衣類に色が移ってしまったという悲しい経験はありませんか。色落ちを示す洗濯表示はないため、洋服の扱いの中でも多いトラブルの一つです。
色落ちはなぜ起きるのかパターン別に考えられる原因から対策を考えていきましょう。
水に濡れると服が色落ちする原因と対策
洋服を染める材料である「染料」は水に浸けることで溶け出してしまいます。そのため洗濯だけでなく、雨や湿気などでも水に濡れている状態は色落ちしやすくなります。
中でも色落ちしやすいとされるジーンズや濃色の服、綿や麻などの天然繊維には注意しましょう。水に濡れたまま長時間放置することは厳禁です。
洗濯後の脱水後もすぐに干すことを心がけましょう。
汗で服が色落ちする原因と対策
汗に含まれる成分には染料を分解させたり、染料の耐久性を低下させる働きがあります。
そのため、直接肌が触れないようにインナーを着用したり、汗をかきやすい部分には汗脇パッドなどの便利グッズを活用することをおすすめします。
そして汗をかいた洋服をそのまま放置していると一気に色落ちが進んでしまいますので、できるだけ早く洗濯をして汗を落とすようにしましょう。
洗濯機で服が色落ちする原因と対策
洗濯機で色落ちする大きな原因は摩擦です。衣類同士を擦り合わせて洗浄するためその摩擦で色が落ちてしまいます。
ボタン一つで洗いあげてくれる洗濯機はとても便利ですが、素材や色落ちしやすい衣類を区別して洗い分けることはできません。
特にジーンズなどの色落ちしやすい衣類は、単独で洗濯機を回すか、手洗いすることをおすすめします。
お湯で服が色落ちする原因と対策
洗浄力を高めるためにお湯で洗うことを推奨している洗剤や、汚れによってはお湯の方が落ちやすいものがあります。
お湯で洗うと洗浄力が高くなる、色落ちもしやすくなります。そのためそのようなお湯で洗う必要がある衣類と、色落ちしやすい衣類は分けて洗濯しましょう。
日光で服が色落ちする原因と対策
直射日光を当てると洋服も日焼けをしてしまいます。その日焼けによる色落ちは紫外線が原因です。
直射日光の当たらない陰干しが良いと聞くことが多いとは思いますが、その理由はこの紫外線から守るためでもあります。
紫外線は殺菌効果があるものの太陽の光線の中でも強いエネルギーをもっているため、一年中干す場所には注意が必要です。屋外に干す場合は衣類を裏返しにして干すことや、洗濯物の保護カバーなどで対策ができます。
また、部屋干しだから安心というわけでもないのがこの紫外線の厄介なところ。屋内でも特に窓際も避けた方が良いですし、照り返しにも注意して場所を選ぶ必要があります。
エタノールやアルコール除菌で服が色落ちする原因と対策
一般的にアルコールといえばエタノールを指していて、消毒に用いる場合は70~80%の濃度のエタノールを使用しています。
エタノールの使用上の注意書きにも革や合皮製品に使用すると色落ちやシミとなる恐れがあると記載されているので、これらの生地の洋服の使用は避けましょう。
革に付着してしまうと、アルコールが揮発すると同時に革に含まれている染料や油分なども一緒に揮発させてしまうことで、色落ちやシミが発生します。
革や合皮以外の素材でも、濃度や染料などの条件次第では生地に何らかの影響を及ぼす可能性は十分考えられます。
スプレータイプのものは誤って服に噴霧してしまうこともありますので、スプレーの向きや距離を置いて行なうなど使用する際は注意しましょう。
香水で服が色落ちする原因と対策
香水の主成分はアルコールです。特にポリエステルやアセテートへの染色は、アルコールによって溶け出してしまうことがあります。
それ以外の素材でも変色やシミになる場合があるので、香水は洋服にはつけないことです。
クレンジングオイルで服が色落ちする原因と対策
クレンジングオイルは誤って服に付いてしまうだけでなく、口紅やチョコレートなどの油溶性の染み抜きに使用したことによるトラブルが多くあります。
クレンジングオイルも油成分なので、繊維に残ってしまうとシミが悪化したり、汚れや素材や染料の相性によっては色落ちする可能性があるということです。
染み抜きに使う場合は目立たないところで色落ちテストをすることや、クレンジングオイルの油成分が残らないようしっかり洗い流すことを徹底しましょう。
酢で服が色落ちする原因と対策
お酢は色止めと言われるような染料を繊維に留める効果があると言われています。
しかし、お酢に含まれるクエン酸は入れ過ぎてしまうと洋服を傷めたり、色落ちしてしまうこともあります。色止めに使用する場合は規定量を守りましょう。
プールで服が色落ちする原因と対策
ツンとした臭いの正体でもある「塩素」が原因です。多くの人が利用するプールの水には高めの「塩素」が含まれていることは、その臭いからも感じ取れるはずです。
塩素には殺菌効果、感染症予防、水質維持をする役割があるため衛生基準としてプールでは不可欠なものと定められています。
その一方で塩素の持つもう一つの力は「漂白」があります。プールで濡れた体や髪の毛のまま洋服を着たり、水着の上から服を着たりすると塩素が服に付いて色落ちしてしまう可能性があります。
プールよりもわずかな塩素が含まれている水道水ですら色落ちすることもあるほどです。プールの前後で着用する洋服を考えて選ぶ事や、その後は放置せずすぐに単独で洗うようにしましょう。
除光液で服が色落ちする原因と対策
マニキュアが服に付いてしまったのを取る際や、シミ抜きの薬剤として除光液を使うような方法もありますが、注意したいのは洋服の素材です。
特にドレスや洋服の裏地に使われていることの多い、アセテートやトリアセテートは、除光液に含まれるアセトンという成分で溶けてプラスチックのようになってしまったり、色が落ちてしまうこともあります。
洗濯だけでなく何か洋服に施す場合は、洗濯表示にある素材や特記事項を確認することや、目立たない場所で色落ちしないか確認するようにしましょう。
パーマ液で服が色落ちする原因と対策
パーマ液には漂白の働きがあります。その漂白力はあまり強くありませんが付着してから時間が経過したり、クリーニングの際の熱によってその部分だけ色が落ちてしまうこともあります。
予防策としては美容院に着ていく洋服を選ぶ事です。施術中はケープや首元にはタオルを巻いてもらうとは思いますが、垂れてきたパーマ液がタオルについて洋服の襟についたという事例が多く挙げられます。
美容院との間でトラブルにならないためにも襟やフードのない洋服や、お気に入りの洋服、高級なスーツなどを着ていくことも避けた方が無難です。
ヘアカラーで服が色落ちする原因と対策
最近ではカラフルな色で個性豊かにおしゃれを楽しんだりする人もいます。希望するカラーによってはブリーチ(脱色)することもあるでしょう。
またヘアカラーはパーマと違い自分で染めることもできるため、パーマ液より洋服についてしまう危険性が高いです。ブリーチでなくともカラー剤は時間が経つと徐々に酸化していき、色落ちや変色も起こりやすいです。
更にヘアカラー剤は染めた後も場合によっては1週間ほど注意が必要です。表面に残ったカラー剤で洋服やまくらカバーまでも汚れてしまうこともあります。
特に汗や入浴後などの水分を含んでいる状態は色落ちしやすいので、髪を洗う時はしっかり洗い流し、よく髪を乾かして被害が広がらないようにしましょう。
歯磨き粉で服が色落ちする原因と対策
洋服に歯磨き粉がついて慌ててこすったりしてしまうと歯磨き粉に含まれる「研磨剤」が生地表面の染料を剥がしてしまうことがあります。
歯磨き粉が服についてしまったら表面をタオルや歯ブラシなどでトントンと優しく取り除いてあげましょう。
そしてゴシゴシこすることでかえって歯磨き粉の粒子が繊維の奥まで入り込んで汚れ自体が落ちにくくなる原因にもなります。
それ以外でも、海外製のホワイトニング歯磨き粉を使用している場合は、その成分に「漂白剤」が入っているため、色落ちする可能性があります。
服の色落ちを防止する為の基本的な対策
私たちの日々の生活では色落ちする場面が多くあることがよくわかりました。少しの工夫次第で大切な洋服を色落ちから守ることができますので、以下の対策を参考に取り入れてみて下さい。
- 色落ちテストを行う
- 濃色のみで洗う
- 手洗いをする
- 一度で回す洗濯量を減らす
- ドライコースなどの弱流水で洗う
- 裏返しで洗う
- 洗濯ネットを使用する
- 蛍光増泊剤や漂白剤無配合の洗剤を使用する
- 直射日光や紫外線に当たらない場所で干す
服の色落ちを修復する方法
染め直しや補色によって修復する方法があります。自分で直すならば家庭用染色キットや布染色スプレーを使えば全体的な染め直しができます。
漂白効果のある薬剤が付いたような部分的な色落ちには布用染色ペンが便利です。
そしてもう一つ、クリーニング店や洋服のお直し専門店で染め直しのプロに任せる方法もあります。時間や費用は自分で行うよりも要しますが、お気に入りの洋服やブランド物などを復元したい場合はこちらがおすすめです。
復活させたい洋服の素材、色落ちの範囲や程度、またどこまでのレベルまで復元させたいのかによって自分で行うのか、プロに依頼するのか慎重に判断することをおすすめします。