プロが教える失敗しない礼服の洗濯方法とクリーニング
礼服を着用後、「そんなに長い時間着ていなかった」あるいは「汚れていないし、わざわざクリーニングに出さなくてもいいか」と思うこともありますよね。
ですが、礼服はとてもデリケートな素材でできています。着用後に目立った汚れがなくても、洗濯をして正しく保管をしておかなければ、さまざまなトラブルの原因となります。
いざ着用しようと思った時に、そういったトラブルがないよう自宅での洗濯方法やトラブルが起きた際の改善策をご紹介します。
礼服を自宅で洗濯する方法
洗濯をする前に、どんな衣類でも共通して確認することとして「洗濯タグ」です。最近は、自宅でも洗濯が可能な礼服もありますが、水洗いができない場合はクリーニング店へ持っていきましょう。
【洗濯タグの見方】
桶に40下に横棒1本は液温は40℃を限度とし、洗濯機で弱い洗濯ができる. | |
桶に手は40℃を限度に手洗い可能 | |
桶に×は家庭での洗濯禁止 |
洗濯タグを確認後は、ポケットに物やゴミが入っていないかチェックしましょう。また、色落ちの差が出ないように必ず上下セットで洗濯することをおすすめします。
礼服を手洗いする方法
- おしゃれ着洗剤
- 礼服が浸かる大きさのタライや洗面器
- ぬるま湯
水温は30℃以下。中性洗剤もしくはおしゃれ着洗剤を使用する
擦ったりしないように、上から20回程度押し洗いをする
泡や汚れがなくなるまで、よくすすぎましょう
礼服を洗濯機で洗う方法
礼服の脱水方法
手洗いの場合、大きいタオルに挟んで水気を取り除いても良いですが、洗濯ネットに畳んで入れた後、洗濯機で1分ほど脱水しても問題ありません。洗濯ネットに入れないまま脱水を行うと、礼服の繊維が引っ張られて傷む可能性があるので、必ず洗濯ネットに入れることを忘れないようにしましょう。
礼服の洗濯後の乾燥方法
洗濯機に入れたままにすると、シワや型崩れの原因になる
細いハンガーにかけると型崩れの原因となる可能性がある
風通しが良い場所で陰干しする
自分で礼服に付いたカビを洗濯や落とす方法
礼服は急遽必要になることが多いので、いざ着ようと思った時にカビが生えていたり、クリーニングに出す時間もないというケースも少なくありません。
デリケートな素材なので、基本的にはクリーニング店へ依頼することが望ましいですが、今回は応急処置としてカビが生えていた時の対処法をご紹介します。
- 歯ブラシ
- 布
- 消毒用エタノール
- マスク
- 手袋
カビが移らないように物を片付けてカビ部分を歯ブラシで軽くこする。
吸い込まないようにマスク着用や手袋着用をおすすめ。
礼服に付いたホコリの取り方
ポリエステルやアクリルなどは、静電気が発生しやすいのでホコリが付きやすい素材です。たくさんホコリが付いていると、見た目もよくないので以下の方法で対処しましょう。
- 柔らかいブラシで払う
- 粘着クリーナーやガムテープ
- 輪ゴムを礼服の上に置いて手のひらでコロコロ転がす
- キッチンスポンジ
①柔らかいブラシで払う
ブラシにはいくつか種類があり、素材によって使い分けることをおすすめします。一般的には「馬毛」と「豚毛」があり、馬毛は柔らかく豚毛は硬い毛質となっています。礼服のブラッシングには毛質の柔らかい「馬毛」を使用しましょう。
②粘着クリーナーやガムテープ
注意点として、カーペット用などの比較的粘着力が強いタイプのローラーは、生地を傷める可能性があるため粘着力が弱めのものをおすすめします。
③輪ゴムをコロコロ転がす
礼服の上に輪ゴムを置き、手のひらで輪ゴムをコロコロと転がしてみましょう。そうすると、輪ゴムにホコリが絡まり取ることができます。
④キッチンスポンジ
キッチンスポンジの柔らかい面を礼服に軽く撫でるように滑らすことで、ホコリを取ることができます。
礼服の虫食い対策と正しい保管方法
日本にいる衣類害虫は「イガ」「コイガ」「ヒメカツオブシムシ」「ヒメマルカツオブシムシ」の4種類で、衣類を食べるのは幼虫です。そんな衣類害虫から礼服を守るための対策と、正しい保管方法についてご紹介していきます。
衣類害虫が好む環境は、気温15度〜25度、湿度60〜80%で空気の流れが悪くジメッとした環境です。
頻繁に着ない礼服だからこそ、そのような環境に保管されていると虫食いによって穴があいているということが起きる可能性がとても高いです。また、やってしまいがちな収納例として下記3点ありますが、当てはまる場合は今すぐ改善しましょう。
- クリーニングのビニールをつけたまま収納する
- 防虫剤が期限切れ
- 窮屈な状況で収納
【虫食い対策】
衣服についた汚れや汗などは、虫の餌となってしまいます。保管前には必ずお手入れをしましょう。また、収納する際は防虫剤+除湿剤も使うことで、虫食い対策ができます。ですが、防虫剤が礼服に直接付着すると、色落ちや変色の原因になることがあるので、セットする場所を注意してください。
【正しい保管方法】
型崩れや風通しを良くしてカビ防止になります。
不織布カバーはホコリを避けつつ湿気を逃すことが可能。
ぎゅうぎゅうにならないように気をつけましょう。
礼服のおすすめ洗濯頻度やタイミング
結論、礼服は着用ごとに洗濯することをおすすめします。
冒頭でもお伝えしましたが、礼服は知らないうちに案外汚れていることが多く、その状態でクローゼットに保管すると、次回着用するまでに期間が空き、その間にカビが発生したり汚れなどが衣類害虫の餌となり、虫食いの原因となります。
礼服のクリーニング
礼服のクリーニングに出すタイミングや頻度はいつ?
着用後、都度クリーニングへ出しておくことが最も最適なタイミングですが、自宅で洗濯ができるものもあるので、その場合はシーズンごとにクリーニングに出すことをおすすめします。
礼服のクリーニングに掛かる日数など期間
クリーニング店によって日数の違いがありますが、だいたい2日〜1週間以内で仕上がります。依頼する前に、事前に仕上がり予定日を確認しておきましょう。
礼服のおすすめクリーニングコースや出し方
礼服は着る機会が少なく、長期的にクローゼットに保管されるため「防カビ・防虫加工」や「撥水加工」など長期保管向けのクリーニング加工がおすすめです。
また洗濯時と同様、別々で出すとクリーニング回数が異なり色合いが変わってくるため、必ずジャケットとスカート(スラックス)をセットで出すようにしてください。
礼服のクリーニングに失敗した時の対処法
クリーニングに失敗したときは、まず依頼したクリーニング店へ連絡しましょう。どのような問題が発生したのかしっかり報告をして、クリーニング店側に問題があった場合は、修復や補償など行ってくれるので、クリーニングに出す際は信頼できるところを選ぶことも重要です。
礼服のクリーニング料金と値段が高い理由
礼服のクリーニングは、一般的なスーツと比べ料金が高くなる時があります。礼服の場合、一般的なスーツと違い染める過程が異なるため、同じ「黒」でも深さの違いが多いことがあります。(ものによって何度も染めるものもある)
また先程もお伝えしたように、長期保管用の加工が施されるため料金が高くなりますが、良い物を長く着れるようにするためにも理解しておきましょう。