プロが教える洗濯のりの正しい使い方と落とし方
「洗濯のり」と聞くと、多くの人がその使用方法について疑問を抱くかもしれません。
適切に使用すれば衣類の見栄えを格段に向上させることができますが、使い方を間違えると思わぬトラブルの原因にもなりえます。
そこで、洗濯のりの最適な使用方法と、衣類に付着したのりを安全に落とす方法を紹介します。
洗濯のりとは?目的や効果と他ののりとの違い
洗濯のりとは、衣類や布製品に一時的な硬さや形状を与え、シワの発生を抑えるために使用される洗濯補助剤です。
一般的には、水溶性のポリマー、デンプン、またはそれらの化学的変種を主成分としています。
この製品は、衣類にパリッとした仕上がりをもたらし、特にビジネスシャツやフォーマルウェアのようなアイテムに清潔感とプロフェッショナルな外観を提供します。
目的や効果
- 形状維持: 衣類に適度な硬さを与え、型崩れを防ぎます。
- 清潔感の演出: パリッとした外見は、清潔感を向上させます。
- しわ防止: アイロンがけ後のしわを減少させる効果があります。
洗濯のりと他ののりとの違い
- 水のりとの違い: 水のりは主に紙の接着に使用され、洗濯のりと異なり、布地には適していません。洗濯のりは衣類専用に設計されており、洗濯後も衣類に残留しないようになっています。
- アイロンのりとの違い: アイロンのりも衣類の形状維持に使われますが、こちらはアイロンがけの際に直接スプレーして使用します。洗濯のりは洗濯機で使用し、衣類全体に均一に行き渡らせることができます。
メリット
形状維持としわ防止
洗濯のりは衣類に一定の硬さを与え、襟や袖口などの形状を長時間維持します。
これにより、しわがつきにくくなり、アイロンがけの時間が短縮されます。
清潔感とプロフェッショナルな外観
衣類にパリッとした質感を与えることで、清潔感と整った印象を強調します。
特にビジネスシャツやフォーマルウェアに適しており、プロフェッショナルな外観を保つのに役立ちます。
汚れの付着防止
洗濯のりを使用することで、衣類の表面に薄い保護層が形成され、汚れやほこりの付着を防ぎます。
これにより、衣類がより清潔に保たれ、洗濯の頻度も減少する可能性があります。
デメリット
過剰使用による硬化と不快感
過剰に使用すると、衣類が過度に硬くなり、着心地が悪くなることがあり特に肌に直接触れる衣類では、不快感を感じることがあります。
黄ばみや白残りのリスク
長期間にわたって洗濯のりを使用すると、衣類に黄ばみが生じたり、白い残りが出ることがあります。
これは特に、白い衣類やデリケートな素材で起きる可能性があります。
合わない素材がある
洗濯のりは、すべての素材に適しているわけではなく、特にデリケートな素材や特殊な加工が施された衣類には不適切な場合があります。
そのため、洗濯のりを使う前には必ず洗濯タグを確認しましょう。
洗濯のりを使う際の注意点
- 柔軟剤の投入口に入れない
- 乾燥機にかけない
- 合わない素材もある
- 使用後は洗濯槽を洗う
柔軟剤の投入口に入れない
洗濯のりは、柔軟剤の投入口に入れると固まり、詰まりの原因になることがあります。
そのため、のりは洗濯機の洗濯槽に直接入れるのが適切です。
また、のりを使用する前には、洗濯機の取扱説明書を確認し、機種による適合性をチェックしておくことが重要です。
乾燥機にかけない
のり付けした衣類は乾燥機にかけないようにしてください。
乾燥機を使用すると、のりが機械の内部や洗濯槽にこびりつき、故障の原因になることがあります。
乾燥させる時は、ハンガーにかけて自然乾燥させることをおすすめします。
すべての素材に適しているわけではない
先程もお伝えたように、シルクやウール、おしゃれ着などのデリケートな素材には、洗濯のりの使用を避けてください。
これらの素材はのりが蓄積しやすく、一度使うと元の柔らかい風合いを損なうリスクがあります。
使用後は洗濯槽のお手入れを
洗濯のりを使用した後は、洗濯槽のお手入れを忘れずに行ってください。
のりが残っているとカビの発生や悪臭の原因になります。
洗濯槽に水を溜め、洗浄剤を使用して空回しすることで、槽内をきれいに保つことができます。
洗濯のりの種類
洗濯のりには様々なタイプがあり、その使用方法も異なります。主な種類とその使い方を解説します。
洗濯のりの選び方とその特徴①
洗濯のりの種類によって、衣類の仕上がりや使用感が大きく異なります。
以下に、主要な3つの洗濯のりの種類とその特徴、メリット、デメリットを詳しく紹介します。
1. 天然のり(パリッと仕上げ)
- 特徴: ジェルタイプに多く使われ、主にデンプンベースで作られています。化学成分は含まれていないため、肌に敏感な人にも適しています。
- メリット: クリーニング店に出したようなパリッとした仕上がりを実現し、自然由来の成分で肌に優しいです。
- デメリット: 天然成分のため時間が経つと変質しやすく、虫がつきやすいことがあります。
2. 合成のり(柔らかい仕上がり)
- 特徴: 液体タイプやスプレータイプで一般的に使用され、洗濯機での使用にも適しています。
- メリット: 手頃で使いやすく、普段使いの衣類に向いています。仕上がりを重視する人や初心者にもおすすめです。
- デメリット: 天然のりに比べて仕上がりが柔らかくなりがちです。また、化学成分に敏感な人は注意が必要です。
3. 半合成のり(汚れ防止・汚れ落ち重視)
- 特徴: 自然素材と化学成分を混合したもので、合成糊の汚れの付きにくさと天然糊の汚れの落ちやすさを兼ね備えています。
- メリット: 汚れ防止効果と洗濯時の汚れ落ちのバランスが良いです。
- デメリット: のりが均一に行き渡らないことがあり、色ムラが生じやすいです。色物の衣類に使用する際は特に注意が必要です。
洗濯のりを選ぶ際には、求める仕上がりや衣類の種類、肌への優しさなどを考慮して選ぶことが重要です。
それぞれのタイプにはメリットとデメリットがあり、用途に応じて最適なものを選ぶことが望ましいでしょう。
洗濯のりの選び方とその特徴②
スプレータイプ
アイロンがけの前に衣類に直接スプレーします。
均一に行き渡るように一定の距離からスプレーし、その後アイロンをかけます。
液体・乳液タイプ
洗濯機の最終すすぎ水に直接入れるか、あらかじめ水で薄めてから使用します。
通常、製品に記載された分量を守ることが重要です。
粉末タイプ
事前に水で溶かし、その液体を洗濯機に加えます。
水との割合は製品によって異なりますが、一般的には指示通りの割合で溶かします。
洗濯のりの使い方
- 洗濯機で洗う場合
- 手洗いをする場合
- スプレータイプを使う場合
洗濯機で洗う場合
のりを薄めて使うのがポイント。
一気に入れると原液がついた部分にシミができるので気を付けましょう
手洗いをする場合
水にくぐらせるだけでもOKですが、ムラになる可能性があるので注意する
スプレータイプを使う場合
スプレー直後にアイロンをかけると焦げる可能性があるので気を付けましょう
アイロンの温度は必ず低温にする。
洗濯のりの落とし方
洗濯のりを落としたい場合、その落とし方にはいくつかの方法があります。
以下に、効果的な方法をいくつか紹介します。
通常の洗濯
洗濯のりが服に軽度に付着している場合、通常の洗濯プロセスで落とすことが可能です。洗濯機での通常の水洗いと洗剤を使用します。
洗濯する際は、洗剤は衣類の種類に合わせたものを選び、温度設定も適切に行ってください。
暖かい水での処理
暖かい水に洗剤を少量混ぜて溶かし、その中に衣類を浸します。数分間浸した後、通常通り手洗いまたは洗濯機で洗います。
暖かい水はのりを溶かしやすく、より効果的に除去することができます。
アイロンシール(名前シール)の取り方
アイロンシールを剥がす時には、アイロンの熱を使って剥がすことができます。
その方法は以下の通りです。
- アイロン
- アイロン台
- あて布
- ピンセットや毛抜き
素材によっては温度を設定しましょう
高温すぎたり、長時間アイロンを当てないようにする。
裏側だと生地が分厚く熱が届かない場合は、当て布をして表から当てる
冷めないうちに、アイロンシールの端っこから剥がしていく。
剥がす際に、布が引っ張られすぎないないように空いた方の手で抑える
洗濯のりの成分や代用品の作り方
成分
洗濯のりの主成分は、繊維を一時的に硬化させることで形状を保持する化学物質です。
これらの成分は水に溶けやすく、洗濯時に繊維に均等に行き渡るように設計されています。
一般的に、以下のような成分が含まれています。
タイプ | 主要成分 |
---|---|
天然 | デンプンベース |
合成 | ポリビニルアルコール (PVA) または類似の化学成分 |
半合成 | 天然成分と合成成分の混合 |
- 天然タイプ: 主にデンプンをベースとした成分で、自然由来の素材から作られています。
- 合成タイプ: ポリビニルアルコール (PVA) やその他の合成化学成分を主成分としており、化学的に合成された糊です。
- 半合成タイプ: 天然成分と合成成分を組み合わせて作られており、両方の特性を持ち合わせています。
この分類により、洗濯のりの選択時に成分に基づいて選ぶことが可能になります。
代用品の作り方
お米を使う場合
実はお米を使って自家製の洗濯のりを作ることが可能です。
お米に含まれるデンプンが、天然のりの役割を果たします。
この方法は、化学物質を避けたい方や、手軽に家庭で洗濯のりを作りたい方に適しています。
以下に、お米を使った洗濯のりの代用品の作り方を紹介します。
- ご飯
- 足先部分を切ったストッキング
- 洗面器やタライ
こちらはシャツ1枚分程度
お米以外で代わりになるもの
- コーンスターチ(小麦粉または片栗粉でも可)
- 鍋
- 水
乳白色が透明になるまで混ぜる
洗濯のりの期限や固まった場合の対処法
洗濯のりの使用期限
洗濯のりの使用期限は製品によって異なりますが、一般的には開封後数ヶ月から1年程度が目安です。
製品の保存状態や環境によっても変わるため、以下の点に注意してください。
- 保存状態: 涼しく乾燥した場所に保管し、直射日光や高温多湿を避ける。
- パッケージの指示: 製品パッケージに記載された使用期限や保存方法を守る。
- 品質の変化: 色の変化、異臭、異常な固まりがある場合は使用を避ける。
固まった洗濯のりの対処法
洗濯のりが固まってしまった場合、以下の方法で対処することができます。
水で薄める
固まったのりを適量の水で薄めてみてください。のりが再び液体状に戻る場合があります。
暖かい水を使用
固まったのりは暖かい水で溶けやすくなることがあります。暖かい水で薄め、溶けたら冷ましてから使用します。
容器を振る
固まったのりが入った容器を強く振って、中身を均一にする試みが有効な場合もあります。
洗濯のりの捨て方
洗濯のりは、そのまま排水溝に流さず古紙などの紙に吸わせて可燃ゴミで捨てましょう。
ですが、お住まいの地域によって捨て方が異なるので確認することをおすすめします。
クリーニングののり付けの料金相場
クリーニング店での、のり付けサービスの料金は、地域や店舗、衣類の種類によって異なりますが、以下に一般的な料金相場を紹介します。
通常のクリーニング料金に加えて、のり付けには追加料金がかかる場合が多いです。
のり付けのみのサービスの追加料金は、一般的に1点あたり200円〜500円程度が相場です。
ワイシャツやブラウスなどのクリーニングと糊付けをセットで行う場合、1点あたりの料金は、例えば800円〜1500円程度が一般的です。
この料金は、通常のクリーニング料金に糊付け料金が含まれています。
シルクやリネンなどのデリケートな素材、または大きなアイテム(例えば、ドレスやカーテン)の場合、料金は通常より高くなることがあります。
料金はクリーニング店によって異なるため、具体的な料金を知りたい場合は、事前にお近くのクリーニング店に問い合わせることをおすすめします。
最適なサービスを選ぶためには、価格だけでなく、クリーニングの品質や評判も考慮することが大切です。