ウェットクリーニングを家で洗う方法と覚悟すべきリスク
ウェットクリーニングを正しく理解したうえで、家で洗う方法を紹介します。その際に気を付けるべきポイントをあわせて解説していきます。
ウェットクリーニングを家で洗うリスク
ウェットクリーニングとは「クリーニング店が特殊な技術で行うプロの水洗いと仕上げまで含む洗濯」とされています。
この説明からするとクリーニング店でもなければ、特殊な技術もない私たちが家で洗っても大丈夫なの?と疑問に思いますよね。
なぜ、プロの技術が必要なのかと言うと、「ドライクリーニングでは落とせない水溶性の汚れを落とすため」+「通常の水洗いではトラブルが起きる可能性が高い」場合に、水洗いをする為です。
ウェットクリーニングは、衣類の素材や汚れの状態を見極め、一つ一つ使用する洗剤を始め、洗い方、乾燥方法、プレスの仕方などを見極めながら丁寧に手作業で専門の職人が行います。
例えば風邪をひいた時に、自宅では「風邪っぽい」から「総合風邪薬」を飲んでおこうと言うのと、病院で「どういう状態」だから「この薬をどれだけ使おう」と同じくらい違います。
水洗いをした後は、どうしても衣類の伸び縮みや型崩れがつきものですが、それらのダメージを補正する知識も技術もありません。
そして家庭で使用する洗剤だと衣類によっては色落ちしたり、洗剤の使用量や洗い方によっては衣類を傷めてしまうことになります。
最近では家庭用洗濯機でも高機能なコースが搭載されていておしゃれ着用の洗剤が販売されているため、ホームクリーニングなんて言葉もあり安易に考えてしまいがちです。
また、ウェットクリーニングと聞くと、水で洗うなら家庭の洗濯機でもできるのでは?と勘違いしてしまいますが、このような職人技が必要な洗い方ですので、基本的にはクリーニング店に依頼するものになります。
特にお気に入りの衣類や、高級ブランドの衣類は信頼できるクリーニング店にお任せすることをおすすめします。
しかしその手間隙のかかる分、お値段は通常のドライクリーニングよりも高めです。現実的にウェットクリーニングの表示のあるものを毎回クリーニングに出すことは難しいですので、衣類によっては自宅で洗うことができれば嬉しいですね。
職人が手作業で丁寧に扱うクリーニングであることを十分知ったうえで、家庭でもできるウェットクリーニングの方法についてこの後説明していきます。
リスクのまとめ
- 色落ちなどのトラブルが起きやすい
- 汚れや生地に適した洗剤の使い分けや洗い分けができない
- 水洗いした後の型崩れなどのダメージを補正する技術がない
ウェットクリーニングを家で洗う方法
ではこのようなプロの技が必要なウェットクリーニングを家庭で洗うにはどこで見分けて、何に注意して洗えばいいのでしょうか。
実はウェットクリーニングの洗濯表示がついていても家庭で洗うことができるものがあります。それは洗濯表示で見分けることができます。まずウェットクリーニングの洗濯表示を知っておきましょう。
左からウェットクリーニング禁止、次からは3つともウェットクリーニングが可能です。下線はあればあるほど弱い操作で洗うことを示しています。
このようにウェットクリーニングのマークがあったら全てクリーニングに出さないといけないわけではありません。次に以下のような洗濯表示がないかもあわせて確認をしてください。
洗濯機で洗える | 手洗いできる | 水洗いできない |
左から順番に説明します。たらいの中に数字があれば洗濯機洗いができます。たらいの中の数字は「温度の上限」を示しています。40と書かれていれば「40℃以下」のお湯で洗えることを意味しています。
次にたらいの中に手があるマークは実際の「手洗い」のほか「おうちクリーニング」コースなどが搭載されている洗濯機だと家庭で洗えます。
最後にたらいに×が付いているものは家庭の洗濯機で洗えません。クリーニング店に依頼しましょう。
先程ウェットクリーニングはクリーニング店へお任せするようにおすすめしましたが、つまりはウェットクリーニングが可能の場合、たらいにバツマークがなければ家庭で水洗いが可能になります。
逆に「W」マークと「たらいにバツマーク」の両方がある場合は、「家庭での洗濯不可」ですが「クリーニング屋さんでのウェットクリーニングができる」という意味になります。このパターンはプロにお任せしてください。
ここからのウェットクリーニングは洗濯表示より家庭で洗えるものを対象として説明していきます。方法としては手洗い、洗濯機洗いの2通りありますがこちらも洗濯表示に沿った洗い方をしましょう。
洗濯機で洗う際は洗濯ネットに入れてドライコースやおしゃれ着コースなどの弱水流で洗いましょう。洗剤はおしゃれ着洗剤を使用してください。
ウェットクリーニングを自宅で洗う際の洗剤
デリケートな服を扱いますので通常の洗濯で使用している洗剤とは使い分けます。生地を傷めないようにおしゃれ着用洗剤を使いましょう。
ウェットクリーニングにアクロンとエマールは使えるか?
家庭で使用するおしゃれ着洗剤となるとこの2つの洗剤が代表的といえるでしょう。
おしゃれ着洗剤とは、ニットなどのデリケート衣類をダメージから守りながらも優しく繊維の奥の汚れを落としてくれる洗剤のことです。
洗濯による衣類への負荷を抑えつつも水溶性の汚れをスッキリ落とすことができます。
おしゃれ着洗剤の特徴
- 型崩れを防ぐ
- 毛玉を防ぐ
- 色あせを防ぐ
- ヨレ・シワを防ぐ
ウェットクリーニングに漂白剤は使えるか?
おしゃれ着用洗剤代表のアクロンやエマールでは「液体酸素系漂白剤」の使用ができると記載されています。ですのでデリケート素材の衣類を漂白することもできます。
しかし、使用する際は素材や装飾によっては使用できない場合があるので、洗濯表示を確認しましょう。また、こちらのおしゃれ着洗剤では柔軟剤もあわせて使用することができます。
ウェットクリーニングの手洗い方法
温度が高すぎると熱に弱い衣類は傷めますし、冷たすぎてもニットのような素材は縮んだり硬化してしまいます。
洗剤はエマールやアクロンといったおしゃれ着用の洗剤を使用しましょう。ぬるま湯を使用しましょう。
この際強くこすったりすると衣類を毛羽立たせたり傷める原因になるので注意が必要です。
脱水を長時間行うと衣類を傷めたりシワになってしまう可能性があります。
洗濯機に菌が発生している場合この時点で菌が付着してしまいカビ臭の原因になるので、お洗濯前は洗濯槽やフィルターの清掃を行っておきましょう。
絶対にゴシゴシ強くしないで、優しく押し洗いする事を心掛けて下さい。
柔軟剤を入れる場合はこのタイミングで投入して下さい。
脱水は30秒ほど、その後はタオルドライで水分を取り除いていきましょう。
脱水は30秒ほど、その後はタオルドライで水分を取り除いていきましょう。
ウェットクリーニングの乾燥方法
脱水後は放置せずにすぐ干しましょう。
四角に1つの縦棒はつり干しが良い | |
四角に1つの横棒は平干しが良い | |
四角に1つの縦棒に斜め線は日陰でつり干しが良い | |
四角に2つの縦棒はぬれつり干しが良い |
干し方に関する洗濯マークは上記の4つのパターンの組み合わせです。
シャツやブラウス、スカートなどはハンガーにかけてやさしく手アイロンで伸ばしてから干しましょう。ニットなど重みのでるもの衣類は基本的には平干しをおすすめします。
形を整えてシワをやさしく手アイロンで伸ばして干しましょう。変色を避けるたけ直射日光にあてず陰干しをおすすめします。
ウェットクリーニングをコインランドリーで洗えるか?
コインランドリーに置かれた洗濯機は、家庭用とは違うので特別な洗い方ができるのではと思うかもしれませんが、ウェットクリーニングマークを洗えるような特殊な洗い方をしてくれる訳ではありません。
ウェットクリーニングの場合はクリーニングに出してプロに任せるか、お家で自分で責任をもって丁寧に洗うかどちらかにしましょう。