粉洗剤と液体洗剤どっちが良いかパターン別に解説
日々のお洗濯に欠かすことができないのが洗濯洗剤です。洗濯洗剤は大きく分けて、“粉洗剤”と“液体洗剤”があります。
粉洗剤と液体洗剤とでは主な洗浄成分がそもそも違います。それぞれの性質を知らないと満足に使いこなすことができません。
粉洗剤と液体洗剤の違いを知ることにより、それぞれの特徴を活かし、目的に合った洗剤を選ぶことで日々のお洗濯の参考にしてください。
粉洗剤と液体洗剤の汚れ落ちの違い
粉洗剤の1番の特徴は、汚れを落とす力が強いということです。
洗浄力が強い粉洗剤は“アルカリ性”で、衣類に付着する汚れの多くは酸性なので、反対の性質を持つアルカリ性の粉洗剤は酸性の汚れを中和させて、しっかり汚れを落とすことができます。
特に泥汚れ、タンパク質汚れや皮脂汚れなどに強く、高い洗浄力を発揮できるのが特徴で、衣類の繊維に入り込んだ汚れもしっかり落とすことができます。
液体洗剤は粉洗剤にくらべ汚れを落とす力では劣りますが、衣類を優しく洗いあげることができます。
食べこぼしや泥汚れなどの少ない日常的な汚れで、デリケートな素材や色柄物の洗濯には、液体洗剤を使ったほうがよいでしょう。
また、液体洗剤は襟や袖などの部分汚れや、シミにそのまま直接濡れるのも助かる点です。
粉洗剤と液体洗剤の使い分け
では、実際にどういうパターンで粉洗剤を使ったら良いか、液体洗剤を使うべきか、使い分けのおすすめを紹介します。
粉洗剤の特徴
洗濯洗剤の中で最も高い洗浄力を誇るのが粉洗剤です。皮脂汚れや泥汚れといった頑固な汚れもしっかりと落としてくれます。特に白い衣類を洗うには大きな効果が期待できます。
しかし、洗浄力が高すぎて衣類の色が落ちてしまうことがありますので、色柄物やウールなどのデリケート素材には不向きです。
また、水に溶けにくく、繊維に成分が残ってしまう可能性がありますので、すすぎをしっかり行う必要があります。
液体洗剤の特徴
粉末洗剤に比べ洗浄力は劣るものの、衣類を傷めず洗えるのが液体洗剤です。
液体洗剤は水に溶けやすく取り扱いのしやすさが大きなメリットで、基本的にすすぎ1回でOKなものが多く、節水・節電効果もあります。また、色落ちの心配も少なく、色柄物にも安心です。
それぞれの特徴を知り、洗うものの汚れや衣類の素材によって洗濯洗剤をうまく使い分けることで、より効率よく洗濯することができます。
泥汚れに良いのは粉洗剤と液体洗剤どっちが良い?
泥汚れには粉洗剤がおすすめ
泥汚れが通常の洗濯で落ちないのは、水にも油にも溶けにくい“不溶性”の汚れだからです。
皮脂や汗、食べこぼしなどの汚れと違い、泥汚れは繊維の奥まで汚れが入り込み絡みつきます。繊維の奥にある汚れでも水溶性や油溶性の汚れであれば、洗剤が汚れを溶かし、分解して落とすことができます。
しかし、繊維の奥底まで入り込んだ不溶性の泥汚れは、いくら洗浄力が高い洗剤を使っても、水にも油にも溶けにくいので分解することができないのです。
軽い泥汚れは液体洗剤でもよいですが、ガンコな泥汚れをしっかり落とすなら粉洗剤がおすすめです。
ただし、泥汚れは洗剤と洗濯機だけで落ちない事が多いので、先ずは正しい手順を覚えておきましょう。
泥汚れの落とし方
- 泥の付いた洋服を乾かす
- 乾いた泥を優しく落とす
- 40℃程度のお湯に洗剤を溶かしつけ置き洗い
- 洗濯機などで通常の洗濯
泥だらけの洋服を見ると「早く洗濯しないと!」と思うかも知れませんが、水分が残っている状態のまま洗ってしまうより、一度乾かして泥や砂を落としてあげることが汚れを落とすコツです。
乾くと泥もパサパサになって取れやすくなるので、優しく叩いたりブラッシングしてあげてできる限り泥や砂を落とします。この時に強くこすったり、叩いたりすると衣類を傷めてしまう原因になりますので注意が必要です。
その後、40℃程度のお湯に洗剤を溶かしつけ置きする事で、ブラッシングでは落ちなかった繊維の奥の汚れが落ちやすくなります。つけ置きした後は洗濯機などで通常の洗濯を行いましょう。
消臭など臭い対策には粉洗剤と液体洗剤どっちが良い?
しっかり洗ったはずの衣類やタオルから、嫌なニオイがすることはありませんか?匂いの主な原因は、洗濯で落としきれなかった汚れから雑菌が繁殖しているからです。
私たちの身体から日々分泌される皮脂は、菌のエサとなり繁殖します。臭いを防ぐには、菌のエサとなる皮脂汚れを徹底的に落とし、菌の繁殖を防ぐことが重要です。
粉洗剤は弱アルカリ性で皮脂汚れなどのタンパク質汚れに強く、しっかり汚れが落とすことができるので、菌の繁殖を防ぐことができます。
粉洗剤の中でもより消臭効果の高いものを使うことで、しっかり気になる臭いを落としてくれます。
部屋干し臭には粉洗剤と液体洗剤どっちが良い?
部屋干しが臭いやすいのは、雑菌の繁殖に必要とされる水分が洗濯物に長く残っているからです。部屋干しは外干しより乾きにくく、室内は湿度が高いため雑菌が好む環境になりやすいのです。
部屋干し臭の原因となる雑菌をしっかりと除菌することで、嫌な臭いの発生を防ぐことができます。粉洗剤は洗浄力だけでなく、酵素や漂白剤も配合されているものが多いので、除菌効果も期待できます。
ただし、いくら除菌成分が入っていて生乾きでも匂わないと言う洗剤であっても、乾燥に時間が掛かれば部屋干し臭は出ます。
部屋干しの際はエアコン、サーキュレーター、除湿器などを利用して湿度管理をしてあげる事が大切です。また、早く乾かす為に、洗濯物同士のスペースを空ける様にしましょう。
粉洗剤と液体洗剤の値段でコスパはどっちが良い?
上記は、当サイトで2022年頭に調べた粉洗剤と液体洗剤などの価格と1回当たりの単価の比較表です。販売店や商品にもよりますが、価格面では粉洗剤の方が安い事が多いです。(目安の水量と容量が違うので、あくまで参考程度に)
ただし、粉洗剤は2回以上のすすぎが必要なため、水道代金は高くなってしまいます。一方、液体洗剤は泡切れがよく、繊維に洗浄成分が残りにくいように作られているため、1回で十分にすすぎ終わるので節水になります。
洗剤の価格だけで見るなら粉洗剤、水道代を節約できるのは液体洗剤がコスパとしては優れていると言えるでしょう。
縦型洗濯機とドラム式で粉洗剤と液体洗剤はどっちが良い?
ドラム式洗濯機は少量の水で叩き洗いするので、少ない水でも溶けやすい液体洗剤が向いています。
ですが、粉洗剤は液体洗剤と比べると洗浄力が高いものが多く、洗浄力が縦型よりも劣ると言われているドラム式洗濯機の弱点をカバーしてくれます。
粉洗剤は洗浄力が強いですが、水に溶けにくいという欠点があります。縦型洗濯機はたくさんの水を溜めて洗うので、粉洗剤の溶けにくいという欠点を補ってくれます。
ただし、寒い時期はそれでも溶けない事もあるので注意が必要です。
環境に悪いのは粉洗剤と液体洗剤どっちか?
液体洗剤には粉洗剤よりも多くの界面活性剤が含まれています。この界面活性剤が生活排水によって流れることにより、海や川を汚しているのは事実です。
また、液体洗剤はプラ容器に入っていますが粉洗剤は紙パッケージ。パッケージについても環境に悪影響なのは液体洗剤で、粉洗剤の方が環境に優しいと言えるでしょう。
洗剤は、使用量を増やせば汚れが落ちる効果が増大するものではありません。環境への負荷を減らすためには、適正な使用量を把握し、使用するようにしましょう。
環境面で言えば、良い香りを残す為にマイクロカプセルを使用した洗剤や柔軟剤は、おすすめできません。花王も2016年にマイクロビーズ代替完了していますが、まだ使用している企業もあるので注意が必要です。
粉洗剤と液体洗剤を併用し混ぜるのはありか?
基本的に粉洗剤と液体洗剤を混ぜても大丈夫です。ただ、洗剤の種類により使用量が異なるため、混ぜると洗剤の適量がよくわからなくなります。
粉と液体を混ぜると洗浄力が強くなるという事もありません。
洗剤の量が足りなかったり、逆に多すぎたりすることにより、洗濯物の汚れ落ちが悪かったり、洗剤がすすぎきれずに残ってしまうこともありますので、基本的には混ぜずに単独使用した方がよいでしょう。
粉洗剤と液体洗剤とジェルボールの違い
ジェルボールは、なんといっても使い方が簡単で、計量なしでポンと入れるだけの手軽さが魅力です。
ジェルボールの成分には、金属封鎖剤という成分が含まれていて、水の中にある金属イオンを遮断して泡立ちを促し洗浄力を上げてくれます。
アルカリ性の粉洗剤と比べると洗浄力は劣りますが、全体の約90%が洗浄成分なので、液体洗剤よりも洗浄力が高いです。
ただし、1回の洗濯にかかる単価としては、粉洗剤や液体洗剤より高くなる場合が多いので、コスト面では注意が必要です。
粉洗剤と粉石鹸の違い
粉石鹸の成分は“脂肪酸ナトリウム”と“脂肪酸カリウム”で、いわゆる“石けん”を粉にしたものです。粉石鹸は環境にも肌に優しく、洗浄力が高いことがあげられます。
一方、粉洗剤は合成洗剤で、石油から科学的に作られた界面活性剤を使っているので、主な成分が違います。
使い勝手がよい反面、洗剤の成分が肌への刺激となったり、添加物が多く含まれているため環境に悪影響を及ぼす原因にもなります。