防虫剤のシミ抜きをクリーニングのプロが解説
衣替えなどで長期的に保管する場合に大活躍の防虫剤ですが、使い方を一歩間違えるとシミになってしまうことがあるのはご存知でしょうか。
良かれと思って使っているはずのものがかえってトラブルを招くなんて悲しすぎますよね。そんなことにならないように今回は防虫剤がシミになる原因、そしてシミが出来た時のシミ抜き方法をご紹介致します。
防虫剤の成分とシミが取れない理由
冬物衣類をしまう衣替えシーズンとなってきました。冬物衣類に多いカシミヤ、ウール、シルクなどは害虫が好む素材ですのでわずかな汚れからも虫食いが発生してしまいます。
そんな時に大切な衣類を守るのに役立つ防虫剤ですが、実は正しく使わないとシミとなってしまうことがあります。
そもそも防虫剤には大きく4種類あり、昔から使われている有臭性の樟脳(しょうのう)、ナフタリン、パラジクロルベンゼンに加え無臭性のピレスロイド系薬剤があります。
この使用時のポイントは、1種類のみを使用するということです。もしかすると多くの種類の防虫剤を混ぜて使ったほうが様々な虫に効果があるのではと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
防虫剤は固体から気体に変化してその効果を発揮しますが、種類の異なる有臭性の防虫剤を併用すると、化学反応により薬剤が溶けてシミや変色の原因となってしまうからです。
シミは早ければ早いほど落ちやすいですが、衣替えで眠っている間に発生したシミは気付いたころにはかなりの時間が経っているため、落ちにくくなります。
そして、こうして発生したシミは油性のシミとなり、いつものお洗濯では簡単に落ちないのです。
防虫剤のシミが落ちない理由
- 気付いた頃には時間が経っている
- 油性のため通常のお洗濯では落ちない
防虫剤の染み抜き方法
それでは、防虫剤の染み抜きについて解説していきます。
防虫剤の染み抜きに必要な物
油性のシミは水に溶けにくいため油で浮かせて落とします。溶剤としては台所用中性洗剤やクレンジングオイル、ベンジンなどです。
あわせて歯ブラシ、お肌の弱い方はゴム手袋があると安心です。
また油性のシミには弱アルカリ性の洗濯洗剤も有効です。染み抜き後に洗濯機で洗う際にはこちらも併用することをおすすめします。
防虫剤の染み抜き手順
油性のシミでも時間が経過した場合のシミは地道に時間をかけて落としていきましょう。一度で落ちなければ、この作業を繰り返し行えば少しづつ効果が出てくるはずです。
まず染み抜き前には必ず洗濯表示を確認をして下さい。以下のように桶にバツマークであればそもそも家庭で洗うことのできませんのでご注意下さい。
その場合はご自身では何もせずクリーニング店に相談しましょう。使用していた防虫剤の情報などもあるとスムーズです。
家庭での洗濯禁止 | ||
液温は40℃を限度とし洗濯機で弱い洗濯が可能 | ||
液温は40℃を限度に手洗い可能 |
シミの部分に歯ブラシの背の部分を使ってしっかり馴染ませます。
※クレンジングオイル、ベンジンの場合も同様です。
シミの部分にしっかり浸透させるために放置しましょう。
油は水よりもお湯の方が汚れが剥がれやすくなります。液温は洗濯表示に従いましょう。シミの具合を確認して、まだ残っていたらSTEP1からもう一度繰り返してみましょう。
洗濯表示通りの洗い方で設定しましょう。この時弱アルカリ性洗剤の使用がおすすめです。アルカリの力でさらに油を分解する効果が期待できます。
ご家庭で洗えるものでももちろんクリーニング店でも染み抜きが行えます。ご自身で染み抜きをする自信がない方、そんな時間が無い!という方はクリーニング店の染み抜きを依頼しましょう。
そしてクリーニングの「防虫加工」は市販の防虫剤とは異なり、ガス化させるものではなく衣類全体に防虫加工を施すため効果が長持ち、そしてシミになる恐れもありません!
もちろんcoromoeでもどちらも承っておりますのでお困りなことはお気軽にご相談下さい。