ウール製品やニットやコートの虫食い予防対策
ウールのニットが虫食いされた経験がある人は多いと思います。汚れなら落とす事が出来ますが、穴が開いたら捨てるしかない事もありえるし、虫が湧いていたと言う事実だけでも嫌な気分になります。
今回はそんな虫食いが起きないようにプロの目線で予防対策をご紹介いたします。
ウールのニットに虫食いが多い理由や原因
ウールなどのニットは虫食いが多く発生しますが、どうしてニットには虫食いが発生してしまうのか、理由や原因をご紹介します。
ニットの虫食いと引っ掛け傷の穴の違い見分け方
服のほつれや生地のいたみなのか、虫食いのトラブルなのか迷う時があります。見分け方として2つのポイントをチェックしてみましょう。
1.洋服を保管していた期間の長さ
クローゼットやタンスに長期間保管して穴が発生していた場合は、虫食いを疑いましょう。生地の起毛した部分を好む虫も居ます。生地が薄くなっていたり、線が入っている場合は虫食いと考えましょう。
2.穴の数をチェックする
引っ掻いてできた穴は沢山穴が開く可能性は低いです。逆に幾つも小さい穴が開いていたら、虫食いの可能性が高いです。
動物繊維に虫食いは起きやすい
虫が好んで食べる繊維素材は動物繊維のウール、カシミヤ、モヘヤ、キャメル、アルパカ、シルク、コットンなどタンパク質が豊富な物が大好物です。
ニットは特に虫食い被害が多いですが、動物繊維でできているからと言うのが原因です。そのほとんどがタンパク質でできていて、衣類害虫の好物なので虫食いを起こしてしまうのです。
ただし植物繊維や化学繊維であっても汚れが付いていると、それを餌として一緒に食べてしまうので虫食いは起きます。
ニットに虫食いが発生しやすい時期
温度:15~25℃程度が活発になる
湿度:60%以上になると大量繁殖も
栄養:埃、食べこぼし、汗、皮脂汚れ、タンパク質、繊維など
発生しやすい時期は4~10月頃、特に梅雨から夏は虫食いの最盛期です。ただし、寒い時期もエアコン等の暖房で温かい状態が保たれている家が殆どなので、シーズン以外の時期でも虫食い対策は必須と言えます。
ニットの虫食い、どこから発生しているのか?
綺麗に洗濯や掃除をしているのに、衣替えで久し振りに取り出した洋服に虫が付いていたり、虫食いが起きていると「いったいどこから虫が入って来ているのか?気持ち悪い!」となると思います。
特にマンションなどで高層階に住んでいると、虫を意識する事があまり無いのでビックリします。それらの虫が入り込む大きな原因は2つです。
1つ目は外出時に虫や卵が付着した場合。そのまま洗わずクローゼットにしまう事でトラブルになります。予防するには1回着たら洗濯する、頻繁な洗濯が難しいなら衣類用ブラシでブラッシングするだけでもリスクは大きく減ります。
2つ目は洗濯後に外干しした際に付着する場合。虫食い被害を起こす虫は成虫すると飛ぶ事が可能なので、外干ししている時に虫が付いたり卵を産み付けられ、その後クローゼットに仕舞う事で発生してしまいます。
こちらも外干しした後に取り込む際、ブラッシングをするだけでもそれらのリスクを大きく減らせます。
コートの素材も虫食いの被害に遭う事が多い
寒い冬に活躍するコートですが特に使用されている素材が、ウール・カシミヤです。前述した通り、最も虫が好む動物繊維なので、特にコートは被害を受けやすいと言えます。
ウール・カシミヤといった動物繊維が使用されていない衣類も安全なわけではありません。コットンなどの植物繊維も大好物とまではいきませんが、虫が食べる事があるので注意が必要です。
コートは頻繁に洗濯やクリーニングする事が少ないし、着た頻度が少ない場合は翌シーズンまで洗わずハンガーにかけて保管している人もいます。それだと汚れが付いたままなので、その汚れを餌とする害虫の被害に遭うと言う訳です。
ニットやコートの虫食い補修方法や料金相場
虫食いによって程度は様々ですのでお値段は変動します。
虫穴が貫通していない場合の相場は直径5㎜で300円程度、貫通してしまっている場合の相場はセーターやウール素材で毛並みがあるもので、裏地ほどき有りの場合の相場は800円前後、裏地ほどき無市の場合500円前後で行ってくれます。
虫食いが貫通しており表面に毛並みがないスーツやジャケットコートなどの衣類は穴を目立たなくするかけはぎの作業が必要になってきます。こういった場合の相場は最低でも直径3㎜で5000円程かかります。
ニットやコートの虫食い予防対策
対策を行っておくことで大切な衣類を害虫から守ることができます。しっかりと対策をし、次のシーズンも気持ちよく着用できるようにしましょう。
ニットをしまう前の洗濯方法
衣類を収納する前に行うしまい洗いで虫食いを予防することができます。ニットなどの好むものもそうですが、食べこぼしや汗、目に見えない皮脂汚れからも害虫が繁殖してしまいます。
収納前に仕舞い洗いを行うことで大切な衣類を害虫から守ることができます。ニットに限らず。必ず行うようにしましょう。
ニットだと素材にもよりますが、上記の様な洗濯表示が並んでいる事も多いです。左から漂白禁止、乾燥機禁止、家庭での洗濯禁止、ウェットクリーニング可です。
これらのマークの場合は家庭で洗濯するとトラブルが起きる可能性が非常に高いので、プロのクリーニングに任せましょう。
どうしても洗いたい人はリスク覚悟の上で以下の記事も読んだ上で洗濯して下さい。
洗濯槽を掃除していないと菌が衣類に付着しその菌から虫を発生させてしまう事があります。しまい洗い時のお洗濯前はしっかりと洗濯槽を清潔にしておきましょう。
特に汚れが溜まりそうな脇や襟、袖の部分は皮脂汚れや汗が染みついてしまっている恐れがあります。虫の餌になりうるので部分洗いで先にしっかりと落としておきましょう。
ニットは型崩れしやすい衣類なのでおしゃれ着用洗剤を使用しましょう。
ニットのお洗濯は型崩れを防止するため畳んでネットに入れてお洗濯しましょう。
衣類を傷めないよう脱水は30秒から1分程度で行い、タオルドライと乾燥を行いましょう。
ニットの乾燥方法
先ずは洗濯表示を必ず確認して下さい。
- 縦棒:吊り干し
- 横棒:平干し
- 2本棒:濡れ干し
- 斜め線:陰干し
乾燥方法としては4パターンの組み合わせとなっているので、その表示に合った方法で乾燥させましょう。外干しの場合は天日干しでも陰干しでも10時~15時頃で乾く様な、晴れて湿気が少ない日に行いましょう。
雨の日、湿気が多い日、日が落ちた時間に干していると、乾いてた後に湿気を吸い込んでしまうので、カビや害虫の発生の原因になります。
ニットは水分を含んだ状態でハンガーで吊り干しすると、重さで伸びや型崩れしやすいので、基本的に平干しネット等を使った平干しをおすすめします。
ニットをしまう収納方法
干す時と同様に、ニットをしまう際はハンガーに吊るしてしまうと伸びや型崩れを起こしてしまう場合があるため、基本的には畳み保管で行いましょう。ハンガーを使う場合は滑り止めが付いて伸びないタイプを利用しましょう。
衣類が湿気ていないか、しっかりと乾燥できているかを確認して収納していきます。ほこりやゴミも虫の大好物なので、収納前にブラッシングやコロコロでなるべく落としましょう。
収納の際には、可能なら1つ1つ不織布の袋に入れ、更にそれぞれに乾燥剤や防虫剤を入れる事で、ニットを湿気や虫から守る事が可能です。
収納自体の環境が悪ければ、それらの努力も水の泡になってしまうので、湿気や汚れが溜まらない収納環境にする事も大切です。
コートをしまう前の洗濯方法
コートは自宅で洗濯すると、型崩れやシワになってしまう事があるので、ご家庭でのお洗濯はおすすめできませんが、上記の様な洗濯可能なマークがついている場合はご自宅でもお洗濯が可能です。
汚れが気になる部分を先に洗っておく事で汚れを素早く落とす事ができます。おしゃれ着用洗剤を使って襟首周り等の汚れが溜まっている部分は前洗いを行って下さい。
洗濯が可能なものでも、洗濯機で洗うと型崩れや大きなダメージを負ったりシワになるので、おしゃれ着用の中性洗剤で優しく手洗いで押し洗い洗いましょう。
目安としては20回程度を各所で押し洗いすればOKです。
30℃程度のぬるま湯に適量の中性洗剤を溶かし、汚れを落とし15分ほどつけ置きします。ウールは30℃以上で洗うと縮む恐れがあるので、30℃以下で洗うようにしましょう。
洗剤が残っているとシミの原因にもなるので、泡が出なくなるまで2、3回ほどすすぎを行います。
洗濯機の脱水機能を使用するとシワになったりトラブルを起こすので、洗濯機を使用する場合30秒ほどで脱水を済ませ、残りはタオルで優しく押して吸い取り乾かしていきます。
コートを収納にしまう前の乾燥方法
天日干しすると色落ちや変色する事も多いので、陰干しか部屋干しでサッと乾かしましょう。時間が掛かってしまうと雑菌が繁殖し嫌な臭いに繋がるので、湿気が少ない天気の良い日か、部屋干しならエアコンやサーキュレーター、除湿器などをフルに使って下さい。
型崩れやシワを防ぐため干す前に優しく引っ張りパンパンとシワを伸ばし、厚めのハンガーにかけて干すと良いです。乾燥機は型崩れが縮みなど大きなトラブルが発生する可能性が高いので使わない事をおすすめします。
クリーニングに出される方は、クリーニング後の袋に入れたまま保管は湿気が溜まる原因になるので止めましょう。
ニットやコートを収納にしまう方法
ウールやカシミヤなどのコートはハンガーでの吊り保管、ニットやダウンは畳んで収納するのがおすすめです。吊り保管の際は型崩れ予防に厚めのハンガーを使用し、吊りも畳みもホコリなどのゴミを防ぐ為に、通気性のある不織布製のカバーを使用しましょう。
収納は通気性を確保する為にパンパンにせず、余裕をもって7割程度に抑え湿度を下げる事で、虫から洋服を守る事ができます。定期的に収納内の空気を入れ替える様にし、掃除機で埃などを吸い出せば、ダニや害虫が大量繁殖する事は少なくなります。