染み抜きやシミ取り方法

服に付いた血液のシミ抜きをクリーニングのプロが解説

血液のシミ
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ケガや鼻血、生理など血液のシミが衣類に付くことは珍しくありません。今回は、血液を落とすのに有効なシミ抜き方法をご紹介します。

大切な衣類にシミを残さないために、正しいシミ抜き方法を覚えておけばあわてずに対処できますので、ぜひ参考にしてください。

血液の成分とシミが取れない理由

血液のシミは「水溶性」なので、水に溶けやすい性質があり、血液が付いて直ぐに染み抜きすればキレイに落とせます。

ですが、血液はタンパク質と赤い色素で構成されていて、時間が経つと化学反応で酸化し固まってしまい、取れない頑固なシミになります。

さらに、タンパク質は50℃以上の熱で変性しやすいため、高い温度のお湯でのシミ抜きや、汚れが残っている状態でアイロンをかけたり、高温の乾燥機に入れたりしてしまうことでも、タンパク質が凝固して繊維に固着してしまい、落とすのが困難になってしまいます。

血液を溶かす為に熱湯をかけるのは逆効果になるので注意が必要です。

血液の染み抜き方法

血液の染み抜き

血液の染み抜きに必要な物

血液のシミがついてあまり時間がたっていない段階であれば、キッチンにある食器用洗剤でシミ抜きが可能です。

食器用洗剤は肌にやさしく作られているので、生地への負担も最小限に抑えられるのがうれしいポイントです。

  • 食器用洗剤
  • 歯ブラシ
  • タオル
  • 洗面器やバケツなどの容器

血液の染み抜き手順

洗濯表示 桶に40は液温は40℃を限度とし、洗濯機で洗濯できる桶に40は液温は40℃を限度とし、洗濯機で洗濯できる
洗濯表示 桶に手は40℃を限度に手洗い可能桶に手は40℃を限度に手洗い可能
洗濯表示 桶に×は家庭での洗濯禁止桶に×は家庭での洗濯禁止

帰宅後すぐに衣類の洗濯表示を確認し、出来る限り早く水洗いできる物は洗濯機で、手洗いマークは手洗いで、家庭での洗濯禁止はクリーニングへ依頼しましょう。

また、色柄物の場合は色落ちチェックをしましょう。白いタオルに洗剤をつけて、服の目立たない部分に押し付け、色落ちしないか確認しましょう。

1.衣類を裏返し、タオルにシミ部分を当てます。

2.シミに食器用洗剤をつけ、歯ブラシでシミを優しくトントン叩きます。

3.裏に当てたタオルをずらしながら、シミをタオルに移していきます。

4.水またはぬるま湯ですすぎます。

5.シミになっていた部分を確認し、シミがまだ残っていたら、食器用洗剤をもう一度つけて同じ作業を繰り返しましょう。

6.ある程度シミが落ちたら、衣類の洗濯表示に合った洗濯方法で洗濯をします。洗濯機が使える衣類であればそのまま洗濯機に入れて通常通り洗濯をしましょう。手洗いのみ可の場合は、手洗いで仕上げて下さい。

シミ抜きは、シミの外側から中心に向かって落としていくと、周りににじんだシミが残ることを防ぎ、きれいに落とすことができます。

ゴシゴシ擦ってしまうと衣類の繊維を傷めてしまいます。また、汚れを広げてしまい落ちにくくなってしまいますので、歯ブラシで優しく洗うようにしましょう。

時間が経った血液のシミの落とし方

時間が経った血液のシミは酸化して茶色くなってしまい、落とすことが難しくなります。

そんな頑固なシミは、酸素系漂白剤と粉末洗濯洗剤を試してみましょう。粉末洗濯洗剤にはタンパク質汚れを分解する“酵素”が配合されているので、血液汚れに抜群の効果があります。

用意する物

  • 液体酸素系漂白剤
  • 粉末洗濯洗剤
  • タオル
  • 歯ブラシまたは綿棒

手順

1.液体酸素系漂白剤と粉末洗濯洗剤を1:1の割合で混ぜ合わせ、洗剤ペーストを作ります。

2.シミ部分の裏側にタオルをあてます。

3.シミを覆うように歯ブラシなどで洗剤ペーストを塗り、10分程度放置します。

4.シミが落ちたら、衣類の洗濯表示に合った洗濯方法で洗濯をします。洗濯機が使える衣類であれば、そのまま洗濯機に入れて通常通り洗濯をしましょう。

外出先で血液のシミの応急処置

血液のシミは、血液中のたんぱく質が化学変化を起こして酸化し、時間が経つほど落ちにくくなります。

シミは少しでも早い処置が肝心です。正しい方法で応急処置をすることによって、帰宅後の洗濯でシミを落としやすくすることが出来ますので覚えておきましょう。

1.ティッシュなどで、血液の水分を十分に吸い取ります。

2.シミの裏側に乾いたティッシュなどをあて、水で濡らしたティッシュでシミ部分を軽くトントンと叩き、シミを移していきます。

3.乾いたティッシュなどで水分をしっかり吸い取ります。

外出先でもトイレなどに行けば手洗い場で水洗いをすることも可能です。脱いで洗える場合は、シミ部分を水でもみ洗いしましょう。

シミを残さないためには、自宅に帰ってからなるべく早く、シミ抜きを行いましょう。無理やりシミ抜きすると、かえってひどくなることもあります。

自宅で落ちないシミや大切なお洋服の場合は、無理をせずにできるだけ早めに信頼できるプロのクリーニング店に相談しましょう。

アルコールで血液の染み抜きは可能?

血液汚れをアルコールで拭くと、一見汚れが綺麗になったように見えますが、アルコールにはタンパク質を凝固させてしまう性質があります。

そのため、アルコールで拭いてしまうと、汚れを閉じ込めてしまうことになり、目に見えないタンパク質汚れが残ってしまいます。

血液のシミ抜きには、アルコールを使用しない方が賢明です。

マジックリンで血液の染み抜きは可能?

掃除で使用するマジックリンは、血液汚れに有効です。

マジックリンにはアミラーゼと似た物質が含まれていて、タンパク質を分解する働きがあります。

また、マジックリンはアルカリ性なので高い洗浄力があります。特に綿やポリエステル、アクリルの生地には効果的です。

マジックリンでのシミ抜き手順

1.血液のシミに、マジックリンを直接スプレーします。

2.泡がなくなるまで数分間放置します。

3.水またはぬるま湯ですすぎます。

4.シミが残っていたら、再度スプレーをして、汚れの裏からブラシでトントン叩いてみましょう。

5.シミが落ちたら、衣類の洗濯表示に合った洗濯方法で洗濯をします。洗濯機が使える衣類であれば、そのまま洗濯機に入れて通常通り洗濯をしましょう。

オキシドールで血液の染み抜きは可能?

消毒液として使うオキシドールは、血液汚れにも効果的です。過酸化水素を主成分としていて、血液の汚れ部分にかけるとタンパク質と化学反応を起こしてしっかり分解します。

ただし、オキシドールは色落ちしてしまうこともありますので、色物には使用しない方が良いでしょう。

オキシドールでのシミ抜き手順

1.シミの部分にオキシドールをつけて、20分程度しばらく放置します。

2.水またはぬるま湯でよくすすぎます。

3.シミが残っていたら、再度オキシドールをつけて、軽くもみ込みます。

4.水の中でもみ洗いをします。

5.シミが落ちたら、衣類の洗濯表示に合った洗濯方法で洗濯をします。洗濯機が使える衣類であれば、そのまま洗濯機に入れて通常通り洗濯をしましょう。

オキシドールを使って洗っても残ってしまうシミには、仕上げに酸素系漂白剤などを使うときれいに落とせます。

アンモニア水で血液の染み抜きは可能?

アンモニア水に含まれるアンモニウムは、タンパク質を溶解させる作用を持っています。そのため、人間のタンパク質が多量に含まれる血液のシミに効果的です。

さらに、アンモニア水は揮発性が高いため、最後に水洗いで仕上げる必要がありませんので、水洗い出来ない衣類の染み抜きにも活躍してくれます。

アンモニア水でシミ抜きを行う前に、必ず変色テストを行いましょう。

素材や染色によっては色落ち・色抜け・変色が起きる可能性があります。また、白色衣類の場合、黄色く色が染まる恐れがあります。事前に必ず目立たない場所で変色テストを行いましょう。

アンモニア水でのシミ抜き手順

1.アンモニア水を容器に少量入れ、同量の水で薄めます。

2.シミの裏側にタオルを当てます。

3.歯ブラシまたは綿棒に溶液を浸し、シミ部分を軽くトントンと叩きシミを溶かします。

4.別のタオルやガーゼなどでシミ部分を叩き、汚れをタオルへ移していきます。

5.シミが落ちるまで、③~④を繰り返しましょう。

アンモニアはかなり強い刺激臭がしますが、この刺激臭は揮発性なので、匂いを飛ばすためにしばらく陰干し等をしておきましょう。

注意点

アンモニア水は匂いが強いので、シミ抜き作業は屋外で行うか、室内では窓を開け、換気扇を回すようにしましょう。

アンモニア水が付着すると手荒れ・肌荒れを起こす可能性がありますので、作業中はゴム手袋等を着用しましょう。

また、刺激臭がするため、マスク・ゴーグルなどで保護しておくと安心です。

コンタクト洗浄液で血液の染み抜きは可能?

コンタクトに付着する汚れの多くはタンパク質です。

コンタクト洗浄液には、コンタクトに付着するタンパク質を分解する成分が入っているため、血液中に含まれているタンパク質も分解して落としやすくしてくれます。

コンタクト洗浄液でのシミ抜き手順

1.コンタクト洗浄液をシミ部分にかけ、1時間放置します。

2.水またはぬるま湯で、軽くこすり洗いします。

3.衣類の洗濯表示に合った洗濯方法で洗濯をします。洗濯機が使える衣類であれば、そのまま洗濯機に入れて通常通り洗濯をしましょう。

大根おろしで血液の染み抜きは可能?

大根おろしにはタンパク質を分解する「ジアスターゼ」という酵素が含まれています。このジアスターゼが、血液中に含まれているタンパク質も分解して落としやすくしてくれます。

ジアスターゼは酸素に弱いため、血液のシミ抜きに使用する場合は、おろしたての大根おろしを使用するようにしましょう。

大根おろしでのシミ抜き手順

1.大根おろしをガーゼなどの布で包みます。

2.包んだ大根おろしでシミ部分をトントンと優しく叩きます。

3.水またはぬるま湯ですすぎます。

4.シミが落ちたら、衣類の洗濯表示に合った洗濯方法で洗濯をします。洗濯機が使える衣類であれば、そのまま洗濯機に入れて通常通り洗濯をしましょう。

レモン汁で血液の染み抜きは可能?

レモンは「酸性」なので、アルカリ性の汚れを分解する働きがあります。

レモンの主成分であるクエン酸と塩を混ぜることにより血液凝固を軽く防ぎ、血液に含まれる鉄「ヘム」を溶かします。

レモン半分をシミにすりこみ、食塩を振りかけるだけです。 10分ほど放置した後、湿らせた布で汚れを落とします。

塩で血液の染み抜きは可能?

血液のシミがついてすぐなら、塩でシミを落とすことが可能です。塩の顆粒が持つ摩耗作用と脱水作用により、シミが繊維から落ちていきます。

シミを落とすのにかかる時間が短いほどシミが生地へ浸透するのを防げますので、素早く取り掛かりましょう。

塩でのシミ抜き手順

1.血液のシミを流水で洗い流します。

2.流水をあてながら、もみ洗いします。

3.塩に少量の水を混ぜてペースト状にし、ペーストを染みの部分に付けて擦ります。

4.流水ですすぎます。

5.シミが残っていれば、③~④を繰り返しましょう。

6.シミが落ちたら、衣類の洗濯表示に合った洗濯方法で洗濯をします。洗濯機が使える衣類であれば、そのまま洗濯機に入れて通常通り洗濯をしましょう。

除光液で血液の染み抜きは可能?

除光液はマニキュアを落とすために作られたものですが、除光液の主成分である「アセトン」は有機溶剤の一種で、油分を溶かす性質があるため衣類のシミ抜きにも使えます。

そのため油性ペンなど、水に溶けない油性の汚れに除光液は効果的なのですが、血液のシミは水溶性の汚れのため、除光液では落とすことができません。

歯磨き粉で血液の染み抜きは可能?

時間が経って乾いてしまった血液のシミには、歯磨き粉が役立ちます。

歯磨き粉でのシミ抜き手順

1.歯磨き粉をシミの部分に塗り、乾燥するまで待ちます。

2.歯磨き粉が乾いたら、水またはぬるま湯で洗い流します。

3.洗濯用せっけんをつけてもみ洗いします。

4.シミが落ちたら、衣類の洗濯表示に合った洗濯方法で洗濯をします。洗濯機が使える衣類であれば、そのまま洗濯機に入れて通常通り洗濯をしましょう。

日光など紫外線で血液のシミは取れる?

日光に含まれる紫外線には色素を分解する働きがあり、カレーに含まれるクルクミンや、トマトに含まれるリコピンという色素成分を分解して色を薄くする効果がありますが、血液のシミには効果がありません。

紫外線は色素の中で分子の結合が強いものにはあまり影響を持っておらず、血液の染みはヘモグロビンのヘムという鉄分を含むタンパク質であり、紫外線の影響は受けにくいと考えられます。

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