黄砂の洗濯物への影響と干し方や対処法をプロが解説
お住まいの地域によっても被害の差はあるかもしれませんが、黄砂は洗濯物にどんな影響を与えているのでしょうか。
外干ししているご家庭は干し方を工夫して黄砂から洗濯物を守りましょう。今回はそんな黄砂の予防法と付いてしまった時の対処法をご紹介します。
洗濯物に黄砂が付く影響は気にしないで良い?
黄砂は中国大陸の砂漠の砂が偏西風に乗って日本に飛んできたものです。黄砂の影響を受やすい中国で視界を遮るほどの黄土色の砂で包まれた映像を目にしたこともあるのではないでしょうか。
この黄砂はただの砂漠の砂であればそこまで人体に与える影響は深刻ではありませんが、問題なのは多くの有害な化学物質をのせた黄砂が日本までやってくるということです。
その影響としては喘息などの呼吸器系の病気や咳やくしゃみ等のアレルギーを引き起こすことが懸念されています。
日本での黄砂のピークは3~5月。この時期は花粉症で悩まされ方も多いですが、そんな花粉よりも黄砂の粒子は小さく、スギ花粉のわずか10分の1程度です。
それほど細かい粒子なので洗濯物の繊維の奥まで入り込んでしまうことは想像するに容易いですよね。
それだけではなく、砂は不溶性のため、水にも油にも溶けないことから一度付着してしまうと落とすのが困難です。
そんな健康被害の危険性のある黄砂が付着した洋服を着ることはもちろん避けたいですし、特に小さなお子様がいらっしゃるご家庭では特に無視できない問題なのです。
洗濯物を外干しする黄砂の基準
とは言え、洗濯物は外干ししている方が大半でないないでしょうか。西風の強くなる春以外でも一年を通して黄砂は飛んできていますので気を付ける必要があります。では何を基準に判断すれば良いのでしょうか。
黄砂には「環境基準」というものが定められています。
洗濯物の外干しについてもこのSPM(浮遊粒子状物質)の濃度で定められた「1時間値の1日平均値が0.10mg/m3以下であり、かつ、1時間値が0.20mg/m3以下であること」を基準に考えましょう。
テレビ放送の天気予報で黄砂情報を見かけるようにもなりましたが、シーズンのみだったりしますので、今日は外干ししても大丈夫?と思った時にはご自身で確認しましょう。
そんな時、環境省の「そらまめ君」を確認するとすぐに分かります。お住まいの地域と表示項目の選択で「浮遊粒子状物質(SPM)」にチェックを入れるだけで表示されます。
表示色が「青・水色・黄緑」であれば基準値である0.20mg/m3以下なので外干ししても大丈夫です。「黄色・橙色・赤」は基準値を超えていますので部屋干しをしましょう。
洗濯物の黄砂の影響は夜でも変わらない
冒頭で黄砂の説明をした通り、風に乗って飛んできますので昼も夜も関係ありません。そのため夜に干すとマシになるということはありません。
基本的に夜干しは湿気を含むなどデメリットが多いので、夜干ししかできない場合は部屋干しをおすすめします。
黄砂が基準以上でも外干しする時の対処法
部屋干しがベストなのはわかってはいても、室内の生活スペースの問題や、お布団などの大物を外に干したい日も出てくるでしょう。
そんな時、対処法としておすすめなのが洗濯物カバーや外干しカバーと言われる便利なグッズです。これらを上手に活用すると黄砂の時期でも安心して外干しすることが可能になります。
洗濯物カバー1つあると黄砂だけでなく花粉、虫、雨、直射日光から洗濯物を守ることができます。
また女性の一人暮らしには防犯にもなるので様々な役割を果たしてくれます。テントやドームタイプ、シートタイプなど形状も選べるので使いやすいものが見つかりそうです。
黄砂が付いた洗濯物ははたくだけで大丈夫か?
黄砂は微粒子のため繊維に入り込んで取りにくいと説明しましたが、そのため一番適している落とし方は洗濯物が乾いている状態で表面に付着している黄砂をはたいて落とす方法です。
この時、洗濯物をはたく際に舞い上がった黄砂を吸いこんでしまわないように注意が必要です。使い捨ての手袋やマスクやメガネで装備して体内に取り込まないように守りましょう。
ただ、洗濯物が濡れている時に付着した黄砂は繊維の奥まで入り込んでしまっている可能性も考えられます。気になる場合はもう一度洗濯をやり直すか、すすぎからだけでも違います。
黄砂まみれの洗濯物の洗い直しは洗濯機で可能?
黄砂が多い日に洗濯ものを干してしまった場合も先述と同様にまずはマスクなどの装備をした上ではたき落としましょう。その後に洗濯機で洗い直しをしましょう。
しっかり落としたいがために、洗剤や柔軟剤の量を必要以上に多くしたりはしないで下さい。かえって洗い残しとなって別のトラブルになりかねません。
それであれば水量を多めにして洗うことや、すすぎを2回にする方をおすすめします。
お布団などの大物ははたく作業が大変なので、布団用クリーナーや掃除機の布団専用のノズルで吸い取ってあげるとやりやすいです。
ただしこれだけやっても100%落とせ訳ではありません。黄砂は予防が大事なので部屋干しすることが一番です。
黄砂の影響が強いなら乾燥機や部屋干しをおすすめ
洗濯カバーなどで対策をすれば黄砂の影響が強い時期でも外干しの両立は可能かもしれません。
ただし、出来る限り黄砂から守るためには外にさらさないことが無難です。コインランドリーの乾燥機やご自宅に乾燥機能付きの洗濯機があれば乾燥機、あとは浴室乾燥も活用しましょう。
部屋干しの場合でも最近では使わない時は折りたためるような室内干しスタンドなど、最小限のスペースで洗濯物を干すことができる便利なものも沢山あります。
部屋干しする際にはあわせてサーキュレーターや扇風機なども上手に利用して短時間で乾かす工夫をすれば、もう部屋干し臭も怖くありません。