服のタンパク質汚れによるシミの落とし方をプロが解説
タンパク質の汚れによるシミは衣類に付いても、すぐに対処すれば取る事が可能です。ですが、取り扱いによって固まり、時間が経ってしまうと、どんどん落ちにくいシミになってしまいます。
ついてしまったシミは、できるだけ早く落とすことがとても大切です。シミの性質と落とすポイント見極めて、すばやく対処しましょう。
タンパク質汚れの例
衣服につく汚れの約4分の1はタンパク質の汚れです。タンパク質の汚れは、牛乳など食品からの汚れや、血液、垢などの人体から出る汚れなどがあります。
- 皮脂
- 垢
- 汗
- よだれ
- 血液
- 母乳
- 牛乳
- 卵
これら以外にもタンパク質汚れは沢山あるので、上手に洗濯で落とせる様になっておきましょう。
タンパク質汚れのシミが落ちにくい理由
タンパク質は50~60℃の熱で変性しやすく、変性すると凝固して繊維に固着してしまい除去しにくくなります。
汚れが残っている状態でアイロンをかけたり、高温の乾燥機に入れたりしてしまうと、タンパク質が固着してしまい、落とすのが困難になってしまいます。
特に襟汚れ「皮脂汚れ」は、しっかり洗っているつもりでも汚れが残っている場合が多いです。また、タンパク質汚れを放置すると、細菌やウィルスのエサとなり増殖させてしまいます。
洗濯ではこの皮脂やタンパク質をどれだけ落とすか、それが綺麗にするポイントといえます。
タンパク質汚れのシミの落とし方
タンパク質は、アルカリによって構造がゆるんだり分解されたりするため、アルカリ系洗剤を用いると効果的にタンパク質汚れを落とすことができます。
また、酵素入り洗剤は界面活性剤だけでは落ちにくいタンパク質や脂質などの汚れを分解し、落としやすくする効果が期待できます。
界面活性剤 | 汚れを取り除いて包み込む。 |
アルカリ剤 | 皮脂やタンパク質汚れに強く、洗剤液をアルカリ性にして界面活性剤の働きを助ける。 |
酵素 | 固まって変質してしまい落ちにくくなった、皮脂やタンパク質などを分解する。 |
タンパク質汚れを落とす場合に、50~60℃以上の熱いお湯を使うとタンパク質が固まってしい、落ちにくくなるので、水またはぬるま湯(40℃以下)で落としていきましょう。
つけ置き洗いでタンパク質汚れのシミを落とす方法
桶に40は液温は40℃を限度とし、洗濯機で洗濯できる | |
桶に手は40℃を限度に手洗い可能 | |
桶に×は家庭での洗濯禁止 |
先ずは洗濯前に必ず洗濯表示を確認し、手洗い表示なら洗濯機は使わず仕上げる事、家庭禁止表示ならクリーニングに依頼して下さい。
用意する物
- セスキ炭酸ソーダ
- 洗面器やバケツなどの容器
- 40℃以下のぬるま湯
- ゴム手袋
セスキ炭酸ソーダは、油やたんぱく質を分解する作用があります。そのため、血液やたんぱく質、皮脂の汚れを落とすのに効果を発揮します。
手順
1.洗面器やバケツなどの容器にぬるま湯を入れる。ぬるま湯2ℓに対して小さじ2杯ほどのセスキ炭酸ソーダを入れて溶かします。
2.シミのついた衣類を3時間~半日程度セスキ炭酸ソーダ水につけ置きし、汚れを浮かせます。とくに汚れが気になる部分がしっかり浸かるように注意しましょう。
3.もみ洗いし、お湯で軽く流します。
4.いつも通り洗濯機で洗いましょう。
セスキ炭酸ソーダはアルカリ性でタンパク質を分解する働きがあるので、長時間触れているとかぶれる可能性があります。肌が弱い方はゴム手袋をつけるようにしましょう。
長時間つけ置きしすぎると服が色落ちする可能性があります。事前に見えない部分にセスキ水をつけて色落ちしないかテストをしておくと安心です。
ガンコなタンパク質汚れのシミ汚れを落とす方法
三角は塩素系及び酸素系の漂白剤を使用可能 | |
三角に斜め線2本は酸素系漂白剤は使用可能だが塩素系漂白剤は使用禁止 | |
三角に×は塩素系及び酸素系漂白剤の使用禁止 |
漂白剤を使用するので、洗濯表示を確認して、使用可能か、どのタイプならOKかを確認してからにして下さい。
用意する物
- 粉末酵素入り洗濯洗剤
- 液体酸素系漂白剤
- 重曹
- 小皿などの容器
- 歯ブラシ
- タオル
手順
1.小皿などの容器に、洗剤・漂白剤・重曹を1:1:1の割合で混ぜ合わせます。
2.シミ部分の裏側にタオルをあて、歯ブラシで混ぜ合わせた洗剤を塗っていきます。
3.トントンと軽く叩くようにしながら、生地に溶剤を馴染ませていきましょう。
4.水またはぬるま湯ですすぎ、シミが落ちているかチェックします。シミが残っている場合は再度洗剤を塗り、10分程度放置します。
5.シミが落ちていれば、ふつう通り洗濯機で洗いましょう。
アルカリ性はタンパク質を溶かす性質があるため、ウールやシルクなどの動物性の素材は痛めてしまう可能性があるので注意しましょう。
血液は放置すると凝固する性質があり、一度固まってしまうと落ちにくくなります。衣類についたら、早めに水で洗うようにしましょう。
汚れが付着したまま長時間放置しておくことで汚れは落ちにくくなります。汚れがついたら、出来るだけ早目に対処することが大切です。