乾燥機の使い方やルールをクリーニングのプロが解説
日頃から乾燥機を使っている方も、限定的に使っている方もその使い方であっていますか?干す手間を省くこともでき、生乾きなどの心配要らずの乾燥機はメリットがたくさんあります。
今回はそんな乾燥機の使い方や基本のルール、さらに乾燥機を上手に使いこなせる上級者テクニックをご紹介致します。
乾燥機のメリットとデメリット
乾燥機の機種によっても機能や効果に多少の違いがありますが、ここでは一般的な乾燥機のメリット・デメリットからその特徴をご紹介していきます。
乾燥機のメリット
- 天候や時間に左右されない
- 時短になる
- 殺菌や除菌効果が期待できる
- 花粉や黄砂などの微粒子が付かない
- 生乾きになりにくい
乾燥機の主なメリットとしては天候や時間に左右されず衣類を乾かすことができることです。
そして共働きが多い今では干す作業にかかる時間を短縮することができるため、家事の負担を減らす目的で使用しているご家庭も多いのではないでしょうか。
さらに有害な微粒子やウィルスからも守ることができるのも乾燥機のメリットに挙げられます。衣類に一定時間高温をあてることは洗濯槽に潜む雑菌や、生乾き臭の元となるモラクセラ菌、水虫の原因となる白癬菌などのあらゆる菌にも有効で、ダニを死滅させることもできるためダニ退治にもなります。
乾燥機のデメリット
- ランニングコストがかかる
- 時間帯によっては騒音問題となる
- 乾燥機に向かない衣類がある
一方大きなデメリットとしてはランニングコストがかかること。そのため深夜の電気代が安い時間帯に利用する方も多いかもしれません。
その場合は乾燥機の運転音は昼間と比べると静かな夜中はうるさいため、集合住宅の方は特に近隣の方への配慮が必要です。そしてご自身の睡眠においても騒音対策が必要になってきます。
運転音の静かな機種もありますので、深夜に使用することが多い場合は静音性の高い乾燥機を選ぶことをおすすめします。
またシワになりやすい素材、熱に弱い素材など乾燥機にかけてはいけないものもあります。乾燥機をかけて失敗しないようにかけてはいけないものをしっかりを見分けるのも大切なポイントです。
乾燥機を使う際の手順
- 乾燥機の容量を確認する
- 衣類を分別する
- 乾燥フィルターにゴミが溜まっていないか確認する
乾燥機の容量を確認する
乾燥機には必ず一度に乾燥できる量が決まっています。洗濯乾燥機の場合は、洗濯できる容量と乾燥できる容量が異なりますので注意しましょう。洗濯乾燥機本体または取り扱い説明書にて確認して下さい。
一般的な容量の目安は以下の通りとなります。
5.0kg:1人用
6.0kg:1〜2人用
7.0kg:3〜4人用
衣類を分別する
次に、洗濯表示にて乾燥機にかけても問題ないかの確認をします。そのため乾燥機をかける前には各衣類の裏側などについているタグを見て判断しましょう。
乾燥機の使用における洗濯表示は以下の3つを見分けれることさえできればOKです。
排気温度上限60℃の低い温度でタンブル乾燥可能 | ||
排気温度上限80℃でタンブル乾燥可能 | ||
タンブル乾燥禁止 |
大きく見分けると、バツマーク以外であれば乾燥機にかけても大丈夫です。ただし、衣類の素材などによって適切な上限温度が設定されていますので、デリケートな衣類や縮みそう?と思うものは特に上限温度には注意しましょう。
一般的な洗濯乾燥機であれば60℃程度ですが、独立している乾燥機であれば80℃の高温になるものもあります。お持ちの乾燥機の上限温度もあわせて確認することをおすすめします。
そして分別する際は最低限、乾燥機にかけても大丈夫なもの・ダメなものに分けれたらOKですが余裕があればさらに大丈夫な物の中で素材別に分けます。
例えば一般的な乾燥機は衣類全体が乾くまで終了しないため、生地の厚いものと薄いものを一緒に乾燥させると薄い方が早く乾き、厚いものには時間がかかります。そうすると乾燥時間は長くなり効率が悪くなってしまうのです。
結果、薄い衣類には長時間の乾燥で負担がかかったり、時間がかかるせいで余計なコストがかかってしまうことになります。
そのためタオル系、化学繊維系、大きさや厚さなどざっくりでも構いませんので似たような衣類をごとに分けて乾燥する方が効率的で経済的でもあります。
乾燥フィルターにゴミが溜まっていないか確認する
使うばっかりでこのメンテナンスがてきでいないケースが多くみられます。継続的に使用している場合は、運転前に乾燥フィルータを確認するようにしてみて下さい。
基本的に乾燥機は空気を温めて乾燥させているため、空気中に含まれている汚れは乾燥フィルターに溜まる仕組みとなっています。
このフィルターにゴミが溜まったままだと、運転効率が悪くなってしまい乾燥時間がかかるだけでなく消費電力も高くなるため注意が必要です。
日頃からお手入れされている方は問題ありませんが、運転する前にチェックしておくことをおすすめします。
乾燥機禁止の服や素材
基本的には先述でご紹介した洗濯表示で判断するようにしましょう。
ただし、一般的な乾燥機NGの服や素材としては以下のものが代表として挙げられますので覚えておくと判断がスムーズです。
- デニム
- ワイシャツ
- セーター
- プリントされている服
- レースやビーズなどの装飾が付いている服
- ウール
- 革
- シルク
- 麻
- レーヨン
乾燥機OKの服や素材
次に乾燥機にかける場合はその後のトラブルの元にもなりますので特にお気に入りの服は特に慎重になりましょう。
失敗しても人に見られることのない綿の下着や部屋着類は向いています。素材でいくとポリエステルは一般的に乾燥機にかけても大丈夫なものが多いですが、一番は洗濯表示に従うことです。
- 洗濯表示でタンブル乾燥バツではないもの
- 部屋着やパジャマ
- ポリエステル
乾燥機の高温や低温の温度設定の使い分け
洗濯乾燥機であれば温度設定ができない場合もありますが、独立した衣類乾燥機をお持ちの場合は使い分けすることができます。
もちろんこの温度設定に関しても洗濯表示に従いましょう。コインランドリーでも設定温度を選択できる乾燥機もありますので設定温度や使い分けは以下を参考にしてみて下さい。
■高温(約70~80度)
服と言うよりは布団や毛布などの大物の乾燥に向いています。除菌などの目的の場合も高温がおすすめです。
■中温(約60~70度)
厚手の衣類、一般的な衣類に適しています。
■低温(約50~60度)
薄手の衣類やデリケートな下着類が適しています。
乾燥機で乾く時間の平均時間
お使いの乾燥機の容量や機種、そして洗濯物の量にもよりますが一般的な乾燥時間は2~3時間程度です。
万が一、あまりにも時間ががかかりすぎる場合は、フィルターにゴミが溜まっていることや、容量以上の洗濯物を入れていないか疑いましょう。
乾燥機後の冷却運転やクールダウン時間
乾燥機後にはクールダウンといって、高温のドラム内に風を送り安全に取り出せるように温度を下げる機能が付いています。
この時間は一般的な家庭用の乾燥機であれば10分~20分程度、コインランドリーの乾燥機であれば5~12分程度が目安になります。
クールダウンは安全面だけでなく、シワを防ぐ働きもあるため必要な冷却運転です。そのため基本的にはクールダウン中も途中でドアを開けることはできません。
乾燥時間と冷却時間はセットで余裕をもって時間をみておきましょう。
乾燥機で乾かすと臭い原因と対策
乾燥機での乾燥後臭い場合は大きく2つ考えられます。
1.洗濯槽やフィルターなど本体に原因がある
洗濯槽や乾燥フィルター、糸くずフィルターのお手入れを怠っていると、そこに糸くずやゴミが溜まりカビや雑菌が繁殖しやすい状態となります。
対策としては定期的にお掃除をすることです。洗濯槽には専用クリーナーや代用品でもお掃除が可能です。糸くずフィルターや乾燥フィルターは取り扱い説明書を確認して適切にゴミを取り除くようにしましょう。
2.洗濯物に原因がある
次に洗濯物自体の汚れが落ちていなかったり、逆に洗剤や柔軟剤が多すぎて洗い残しが発生しているケースも考えられます。
また、乾燥後のドラム内は熱がこもっている状態で、そこに乾燥ムラがあると水分の残っている衣類もあるかもしれません。その状態で長時間放置してしまうと雑菌が繁殖して臭いの原因となる場合も考えられます。
乾燥後も放置せずできるだけ早めにドアをあけて洗濯物を取り出しましょう。
生乾き臭は乾燥機で消える?
生乾きの原因であるモラクセラ菌は熱に弱いため、乾燥機にかけることで死滅させることができます。
一般的な家庭用の洗濯乾燥機であれば排気温度は60℃程度のため、10分~20分程かけておくと効果が出ます。
さらに独立した乾燥機やコインランドリーではそれよりも高く80℃まで上がるものもあります。様々な雑菌を一括してすっきりさせるならばハイパワーな乾燥機を使うことをおすすめします。
乾燥機と天日干しで日光に当てる違いとは?
天日干しと乾燥機の違いは直射日光に当てて乾かすかどうかです。この日光には殺菌効果がありますが、紫外線によるデメリットも多くあります。
紫外線によって色褪せや衣類の傷みなども発生してしまうため、実は天日干しができる衣類は多くはありません。
その点、乾燥機は高温を当てることで殺菌効果もあり、ダニを死滅させることもできます。衣類を紫外線から守って同様の効果を得ることができるので乾燥機の方が優しい乾かし方でもあります。
乾燥機を使う際のおすすめ柔軟剤
続いて乾燥で使える柔軟剤をご紹介致します。
おすすめの柔軟剤シート
乾燥機に柔軟剤?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、乾燥機に洗濯物と一緒にいれて使用する柔軟剤シート(ドライシート)と言うものがあります。
これには液体の柔軟剤と同じく、衣類の繊維を柔らかくふわふわにしたり、衣類に香りづけをしたりする役割があります。
液体と異なるは投入するタイミングと、量る必要がないこと。そのため持ち運びがしやすいため、コインランドリーや旅先でホテルのランドリールームを使う時などにも便利です。
おすすめのドライヤーボール
継続的に使用する場合は、ドライヤーボールがエコでおすすめです。ドライヤーボールも乾燥機の中に投入するだけで衣類同士の絡まりを防ぎ、ふんわりと仕上げて柔軟剤の働きをしてくれます。
更に乾燥中に余分な水分を吸い取ってくれるため、乾燥時間の短縮、電気代の節約にも繋がります。柔軟剤の香りが苦手な方にとってもおすすめです。
■ネリーズ ウールドライヤーボール
出典「Amazon」
見た目だけでなく、家計や地球にやさしいネリーズのドライヤーボール。エコ先進国のカナダ生まれだけあって約2年間を目安に使用ができます。
さらに使用後は可愛い入れ物が貯金箱としても使えるのも素晴らしいです。
1人暮らしに乾燥機付き洗濯機は必要か?
お住まいの物件やライフスタイルにもよりますが、限られたワンルームでの干すスペースの確保や家事に費やす労力や時間などを考慮すると乾燥機を活用することをおすすめします。
購入する際はもちろん乾燥機付きの洗濯機は値段が上がってはしまいますが、それ以上にその後の生活が快適に送れるため、その費用対効果は高いです。
さらに女性の一人暮らしでは防犯面も含め乾燥機能付きの洗濯機がおすすめです。
乾燥機に入れっぱなしで朝まで放置はOKか?
乾燥後のドラムの中は熱と衣類の重みで下にある服に圧がかかってしまうため、それがシワとなってしまうケースがあります。心配な場合は乾燥機後すぐに洋服を取り出してハンガーに吊るなどして余熱を発散させるに越したことはありません。
ただし、そこまで気にしない方やタオルや部屋着などシワの気にならない服であればそのまま放置でも大丈夫です。
あとは乾燥フィルータなどのお手入れが不十分であったり、不具合があった場合は生乾きの状態で途中止まってしまうことや、乾きムラが生じる場合もあります。このようなトラブルも起こりうることは頭の片隅には入れておきましょう。
乾燥機で縮む素材と戻す方法や縮ませない方法
乾燥機にかけると縮みやすい素材とその予防策をご紹介します。
縮みやすい素材の代表
■綿・麻・シルク・ウール(天然繊維)
一般的にこれらの天然素材は熱に弱いため、乾燥機にかけると繊維が縮んでしまいます。よくある化学繊維との混紡の場合でも天然繊維の割合によって衣類が縮む可能性がありますで注意しましょう。
■ナイロン・ポリウレタン・レーヨン(化学繊維)
一般的に化学繊維は熱に強いとされていますが、これらの化学繊維は要注意です。熱に弱く縮んでしまう可能性があります。
縮ませない方法
そのままにはなりますが、乾燥機にかけてはいけない衣類を乾燥機にかけないことに尽きます。そのためには手順で紹介した通り、洗濯表示を見分けることが大切です。
乾燥機でピンクになるなど変色する原因
乾燥機の熱によって生地自体が変色してしまう場合が考えられます。またプリントされた服や色の濃い色物衣類と一緒に入れて乾燥していると濡れた状態の衣類が擦れたりするため色移りしてしまう場合もあります。
変色は洗濯で直すことが難しい分野になりますので、前述の通り洗濯表示を見分けて正しい乾燥を行いましょう。
乾燥機でシワにならないテクニック
シワになりやすい・なりにくい素材の関係もありますが、ちょっとした工夫でシワになりにくくすることも可能です。
以下の方法を参考にしてみて下さい。
- 脱水後、一度取り出して衣類同士の絡まりやシワを伸ばす
- 一度に乾燥する量を減らす
- 乾燥時間を短くする